「CREA」2022年秋号は、「 夜ふかしマンガ」特集です。
今、夜な夜なマンガを楽しむ大人が急増中。慌ただしい日々を過ごしていると、眠りにつく前のひと時くらい、すべてを忘れてマンガの世界に没頭したくなりますよね。そこで、時代をあぶりだす社会派から大人の胸キュン、話題の新人作品まで、35名のマンガ好き著名人に投票いただき選んだ「夜ふかしマンガ大賞」をお届けします! 今年最注目の第一位は――!? マンガ家さんや声優さんなど、豪華インタビューも満載です!
CREA 2022年秋号
発表! 夜ふかしマンガ大賞
特別定価930円
CREA WEBでは、「CREA」2022年秋号のコンテンツの一部を大公開します!
2022年で50周年を迎え、どの世代にも愛されている『ベルサイユのばら』。
著者の池田理代子さんとベルばらファンである作家・三浦しをんさんの対談からは、現代にも通じる逞しき女性の生き方が見えてきました。
高校時代、『ベルサイユのばら』というタイトルは決めていた─池田
フランス革命を背景に、波乱の人生を生きた人々を描いた池田理代子さんの『ベルサイユのばら』(以下、『ベルばら』)。誕生から50年経っても色褪せることのない魅力を放つのはなぜなのか。作家の三浦しをんさんが、その秘密に迫ります。
三浦 私が初めて読んだのはいとこの家で、小学1年か2年の夏休みだったと思います。恋愛のちょっとエロティックなシーンに子ども心にドキドキしたり、ホラー風の外伝にぞくっとしたり、夢中になりました。こんなにすばらしい作品を生んでくださって、本当にありがとうございます。
池田 私も小さい頃から文章を書くのが大好きで、中学生くらいまで小説家を目指していたんです。投稿したりして。なので、小説家の三浦さんとお話しできるのがとても嬉しいです。
三浦 私はマンガ愛が止まらなくて、それこそ自分で描こうとしたこともあるんです。でも画力と、何よりコマ割りで挫折しました。いろいろ読んでいるのに、コマ割りがまったく浮かばず。池田先生はいかがでしたか。
池田 私が子どもの頃はマンガは先生や親など大人からは害悪と思われていたんですね。でも母がとても理解があって、子どもにはどんな才能が眠っているか分からないのだからと、むしろ母が選んで読ませてくれました。コマ割りは、水野英子先生やわたなべまさこ先生、牧美也子先生など、愛読していた先生方のマンガの真似をして覚えました。私、全然アシスタントとかの経験がないもので。
三浦 やはり先生、天才ですね。
池田 いえいえ、私も全然売れなかった時代もありました。食べていくために、結構アルバイトもしていましたね。
三浦 絵を描くのは、元からお好きでお上手だったんですか。
池田 小説だけでなく、マンガも「少女ブック」や「少女倶楽部」という当時の少女雑誌によく投稿していました。4コママンガを石ノ森章太郎先生に褒めていただいて、ハガキももらいました。実際に先生にお目にかかったのは、デビューしてからですが……。
『ベルサイユのばら』池田理代子
舞台は18世紀後半。フランスが市民革命へと突き進んだ激動の時代を、男装の麗人オスカルと悲劇の王妃マリー・アントワネットの人生を軸に、歴史の大きなうねりと運命的な恋を描いた群像劇。いまなお世界中で読み継がれる、不朽の名作だ。
2022.09.07(水)
Text=Asako Miura