最新主演作での「間」を重視した演技
――さて、主演最新作『キッズ・リターン 再会の時』ですが、北野武監督の名作のその後の物語である本作のお話を聞いて、まずはどう思われましたか?
前作はかなり前に観ていたんですが、あの話に続きがあることにビックリしましたし、前作のファンの方々を納得させるマサル役を自分に演じられるのか、大きな不安がありました。
――その不安をどのように克服していかれたのでしょうか?
いつものことなんですが、クランクインまでにだんだん開き直っていくんです。着地点は決まっていて、やっぱり台本に描かれている役の心情を理解して、演じるということしかできないんですよ。だから、お客さんを満足させたい、と欲張る気持ちがあったとしても、役を演じることに集中していくようになりますね。
――役作りとして、金子賢さんがマサルを演じられた一作目を観直すようなことは?
僕は引きずってしまう性格なので、あえて一作目は観直さなかったです。あと、『RAILWAYS~』の運転手のように特殊な職業や、時代劇の場合は知識も必要になりますが、今回はあまりガッツリ役作りをしませんでした。今回いちばん気を遣ったのは、(役柄上)左手が動かないように演技をすることでしたから(笑)。
――本作に出演したことは、これまでのキャリアにおいて、どういう位置づけになるのでしょうか?
自分のキャリアにとってどうとは、あまり考えたことがないので難しいですが、今までとちょっと違う芝居を監督から求められました。端的に言えば、会話の最中の「間」を大切にすること。セリフを言い終わっても、監督のカットがかかるまでの「間」も含めてです。それはとても新鮮でしたね。撮影中は長く感じた「間」も、完成した作品を観ると長さを感じず、とても自然でした。友達と普通に会話をしているようなリアルさを感じましたし、今までと違う演技ができたことには満足しています。
2013.10.11(金)
text:Hibiki Kurei
photographs:Miki Fukano
hair&make-up:KEN
styling:Hiromi Wakui