食材ハンターすぎる店主の多彩なつまみと悩ましき酒
◆旬菜旬魚たじま(しゅんさいしゅんぎょたじま)
こういう店に出合えるから旅はやめられない。
ホッケは店主自らが釣り上げ、神経締めまで施した上で開いて干したもの。50キロの天然本マグロは仲間が釣り上げた魚体を店で解体した。
ホッケは身質がしっかりしているのにほろりと崩れ、上品な脂がしみ出してくる。
本マグロの芳香は口内から鼻腔へと駆け上がる。釣りだけではない。春には山菜、秋にはきのこと山に分け入る。
「小学校の遠足で団体行動から外れてわらびを穫っていた」
「釣りと山菜はおじいちゃんとおばあちゃんに教えてもらった」という筋金入りの食材ハンターである。
夏の出合いもの、“川海老ととうきびのかき揚げ”はひと嚙みすれば旨みが弾ける。お造り盛り合わせには絶対の信頼しかない。
ワインは「農楽蔵」の超微発泡酒、ナイアガラ100%の“ぱやぱやぺてぃやん”か、ヤマソーヴィニオンの搾りかすをケルナーに漬け込んだ“わやれっど”か。
どちらにしても相手を選ばない“葡萄戦隊”シリーズは実に頼もしいワインたちだが、ともに道南飲食店限定の人気シリーズだけに、次の機会があるかは分からない。
こうした選択の悩ましさもまた、一期一会の旅の醍醐味である。
旬菜旬魚たじま(しゅんさいしゅんぎょたじま)
所在地 北海道函館市美原3-38-3
電話番号 0138-83-7448
営業時間 17:00~23時30分(23:00 L.O.)
定休日 日曜
※道南の微発泡ボトルワイン 5,000円~。
https://tajima526.gorp.jp/
2022.07.27(水)
Text=Tatsuya Matsuura(babakikaku)
Photographs=Takashi Shimizu