近年、北海道のワインに注目が集まっている。既に知られている空知や十勝だけではなく、西に南に新風が吹いているのだ。

 たとえば2011年、余市郡の一部が「ワイン特区」に認定されて以降、この地に続々とワイナリーが立ち上げられ、それにつられるように、新しいバーや話題のレストラン、オーベルジュなどがオープンしている。

 今回は北海道のワインが楽しめるワイナリーやレストランと、お土産も揃うショップをご案内。

 見渡す限りのブドウ畑。この圧倒的なスケール感は国内で無二の大地だからこそ。この地で育まれるワインと滋味深い美味に酔い、心も体も解き放たれる旅へ。


継がれた魂は本場の叡智と若い力で伸びゆく

◆CAMEL FARM WINERY(キャメルファームワイナリー)

 晴れた日にはブドウ畑から日本海のシリパ岬が見える。岬から吹く風が海のミネラルを畑に運び、山からの風が病害からブドウを守るという。

 2014年、キャメルファームワイナリーはブドウ作りの名人、藤本毅氏から畑を受け継ぐ形で産声をあげた。

 畑を訪れたイタリアの醸造家、リカルド・コタレッラ氏は余市に惚れ込み、2017年には畑の一角に醸造所が建設された。

 その後、イタリアで醸造長をつとめていたアンジェロ・トータロ氏を招聘、連日ワイナリー長の伊藤愛さんやスタッフと次なる一本について話し合う。

 ケルナーなどドイツ品種に加えて、ピノ・ノワールなどフランス品種の収量も増えてきた。

 そして全員が口を揃えてこう言う。「ここから世界へ」。岬の向こうに目的地はある。

CAMEL FARM WINERY(キャメルファームワイナリー)

所在地 北海道余市郡余市町登町1728
電話番号 080-3569-9251
営業時間 10:00~17:00
定休日 火曜(夏期)、月~水曜(冬期)
※テイスティング45mL 400円、グラスワイン90mL 700円~。
https://camelfarm.co.jp/

2022.07.23(土)
Text=Tatsuya Matsuura(babakikaku)
Photographs=Takashi Shimizu

CREA Traveller 2022 vol.3
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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