部活や塾に行くように、レッスンに行く高校生活

――ということは、井上さんの夢に対して、ご両親は最初から応援されていたということですか?

 まさか自分の子供がミュージカル俳優になれる、とは思っていなかったと思いますし、どこか応援というか協力してくれる感じでしたね。両親がクリスチャンということもあり、僕は幼いときから教会の聖歌隊に入って、讃美歌を歌っていたんですよ。だから、もともと歌うことが好きで、得意でもあったんですが、初めて歌と夢がリンクしたのがミュージカルだったのかもしれません。そして、中学生になってジャズダンス・スタジオに通い始め、歌の先生から本格的に歌を習うようになりました。

――その後、西南学院高等学校に進学されますが、ここはキリスト教系の私立校で、卒業生にも個性豊かな方が多い。特に音楽科のようなものはありませんよね。

 そうですね。でも、週に数回のレッスンは続けていましたから、友達が放課後に部活や塾に行くように、僕だけダンスやピアノのレッスンに行くような感じでした。僕的には早く舞台に立ちたい気持ちがあったので、高校を卒業したら、すぐに劇団などのオーディションを受けたかったんです。でも、両親が「大学は行きなさい」という方針だったので、3年生になったとき、芸大(東京芸術大学)を受けることを決めました。それからは、レッスンのために、よく東京に行きましたね。高校といえば……じつは今でも陣内孝則さんや松重豊さんなどOBの集まりがあって、ときどき誘っていただいて一緒にお酒を飲むんです。みなさん九州男児ならではの熱さがありますね(笑)。

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2013.07.12(金)
text:Hibiki Kurei
photographs:Nanae Suzuki
hair&make-up:Tomio Kawabata
styling:Miho Yoshida