幻の“白砂のサンドバンク”は長さ1キロにも!
今回のヨロン島の最大の目的は、百合ヶ浜。春から夏にかけての大潮周辺の干潮時のみ、白砂のサンドバンクが水中から顔をのぞかせるため、“幻のビーチ”と呼ばれています。
名前も砂がユリ(寄る)で、できることから、地元の言葉で“ユリバマ”と呼ばれ、さらに“百合のように白い”という意味合いも加わったとか。
絶好の状態ではサンドバンクは幅200~300メートル。1年のうち数回、5月頃の大潮時などに長さ1キロまでのびることもあるとか!
日本のベストビーチランキングにも上位に名を連ねる百合ヶ浜。ぜひ、上陸してみたい! 大潮にぴたりと照準を合わせて、ヨロン島へ向かいました。
百合ヶ浜はヨロン島の東部、大金久海岸(おおがねくかいがん、またはウプガニク)の沖、約1.5キロに位置しています。
百合ヶ浜へは大金久海岸のグラスボートや水上オートバイを利用するのがポピュラーのようですが、今回は絶景ビーチの皆田海岸から出船するマリンショップ「ビーチボーイクラブ」のボートに乗船。最大の干潮時に合わせて出発しました。
ただ、数日前から気になっていたのが、天気図に現れていた台風の存在。スタッフから「行けて今日がぎりぎり、明日は時化てしまうだろう」と、聞いてはいました。
百合ヶ浜へ向かう途上も、いつもなら穏やかだという海を、風速7~8メートルの風が波立たせています。
15分ほどで百合ヶ浜へ到着。が、ビーチは水面下のまま。深さも30センチほどあります。
干潮に近くなるにつれ徐々に水深が浅くなり、くるぶしくらいの深さに。今回の百合ヶ浜は残念ながら、台風の影響から逃れきれず、完全に姿を現すことはありませんでした。
それでも海はカリブ海のような光踊るブルーで、まるでブルーキュラソーを流し込んだよう。どこまでも浅瀬が続き、水平線と空との境も曖昧です。そしてさえぎるもののない大空に向かって、力いっぱい両腕を伸ばしたくなる爽快感です。
しゃがんで海に浸かっている人もいれば、寝転んで水遊びをしている人も。中にはウエディング姿で記念フォトを撮影しているカップルも! 思い思いに百合ヶ浜を堪能しているようでした。でも次回は、ちゃんと上陸を果たしたい!
2021.10.23(土)
文・撮影=古関千恵子