「科捜研の女」レギュラー出演から4年を経て、初の『劇場版』にも出演する渡部 秀。昨年、事務所を移籍するなど、まさに心機一転した彼が、新作のみどころや今後の展望も語る【後篇】。

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●天才肌の個性派キャラで、人気ドラマに参加

――2017年からは人気ドラマ「科捜研の女」において、橋口呂太役で京都府警科学捜査研究所のメンバーに仲間入りされます。

 学生時代から知っていた人気番組に、新レギュラーとして参加できるという話を聞いたときの喜びは大きかったですが、長い歴史のある作品に途中参加することの緊張やプレッシャーみたいなものは、かなりありました。それに、呂太は天才肌なうえ、かなり突飛なキャラということもあり、一癖も二癖もある科捜研メンバーの中でも視聴者の方に受け入れられるだろうか、という心配もありました。

――呂太は先輩や上司にもタメ口で話し、注意されても“個性”と主張するマイペースキャラですからね。

 そんな彼のオタク気質なキャラを可愛げとして昇華し、とにかく無礼に思われないことを心掛けました。じつは、なぜ彼が科捜研に入ってきたのか、といった初期設定はしっかりあるんです。それで、僕の方でいろいろ足してみたり、脚本の櫻井武晴さんが引いたりして、今の落ち着いた形になりました。科捜研のメンバーや視聴者の方に受け入れられた瞬間に、自由度が高くなったと思います。

――ちなみに、周りの反響はいかがでしたか?

 世間の反響に関しては、ファンレターなどで知るぐらいで、特に自分でエゴサするようなタイプではないんです。多少のアドバイスは聞きたい方なのですが、人の意見に左右されたくない気持ちもありますし、受け手側に寄りすぎるのも、どこか違うなと思っているんです。

●事務所移籍を機に、YouTubeやTikTokにも挑戦

――20年、事務所を移籍されたことで心境の変化はありましたか?

 事務所を移籍して自分を変えたいと思ったのではなく、時代が変わったことで、自分が今の時代に合った生き方をしたいと思ったのが最初のきっかけでした。30歳を目前にして、10年後の自分を想像してみたんです。それで挑戦するんだったら、とことんやってみたいなと。それが今、いい方向に動いているので、移籍して良かったと思っています。

――それを機に、YouTubeチャンネル「渡部秀Official ワタナベース」を開設され、TikTokの投稿も始められました。

 自分がいちばん苦手なことを始めよう、挑戦してみよう、と思ったのがきっかけです。その結果、YouTubeであれ、TikTokであれ、垣根なく表現する方法として間違いではないし、何でもアリだなと思っています。あとは、どれだけ継続できるかでしょうか(笑)。

――そして、『科捜研の女 -劇場版-』が公開されます。

 今まで『劇場版』のイメージがなかったのですが、果たしてCMなしの2時間という時間で、どういう描き方をするのか、楽しみの方が大きかったです。スケールや規模感も違いますし、キャストも豪華ですし。コロナ禍という今の状況を意識したようなウイルスの話だったり、僕が見てきた「科捜研の女」の中では最大の事件だと思いますね。

2021.08.27(金)
文=くれい 響
撮影=末永裕樹