どんどん自分でなくなっていきたい

――ミュージシャンとしても、俳優としても、成功した現在の状況をどう捉えていますか?

 ありがたい、と思います。音楽も、お芝居も、始めたときはこれをお仕事にしようと思っていなかったんですけど、ほかの仕事をやりたいか?と問われたなら、やりたくなかったと思うんですよ。どちらもスゴく好きなものだったから、続けていくことができたと思います。

――ちなみに、俳優としての今後の目標はなんでしょうか? 今、憧れの俳優はいますか?

 憧れの俳優さんはいないですね。演じることで、どんどん自分でなくなっていければいいな、と思います。とにかく自分と遠い人を演じてみたい。たとえば、凶悪犯とか、ジャンキーとかいいですね(笑)。

星野源(ほしのげん)
1981年1月28日生まれ。埼玉県出身。俳優、音楽家、文筆家。ソロとしての3枚目のアルバム『Stranger』、5枚目のシングル『ギャグ』を発表したばかり。ブッダの声を担当したアニメ映画『聖☆おにいさん』が公開中。今年9月には、出演映画『地獄でなぜ悪い Why don't you play in hell?』が公開される。著書に『そして生活はつづく』(文春文庫)など。

『箱入り息子の恋』
これまで女性と付き合った経験もなく、いまだ実家で暮らす市役所勤務の35歳・健太郎(星野源)。父(平泉成)も母(森山良子)も彼を気遣い、親同士が子供に代わって相手と対面する「代理見合い」の出席を決める。それがきっかけで、彼らは目にハンデを持つ奈穂子(夏帆)と出会う。
www.hakoiri-movie.com
(C) 2013「箱入り息子の恋」製作委員会
2013年6月8日(土) テアトル新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町他、全国ロードショー

くれい響 (くれい ひびき)
1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。

Column

厳選「いい男」大図鑑

 映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。

2013.06.07(金)
text:Hibiki Kurei
photographs:Asami Enomoto