とにかくマジメに演じようと思った主人公

――2000年の「SAKEROCK」結成後、03年に参加した舞台「ニンゲン御破産」を機に、「大人計画」所属の俳優となったわけですが、なぜ大人計画に?

 高校生のときに大人計画の舞台を見て衝撃を受けて、その年に松尾(スズキ)さんのワークショップを受けたんです。そこで顔見知りになりました。松尾(スズキ)さんの書かれる世界観だったり、コラムとかの文章だったりに人生を変えられました。自分のお芝居の原点です。

――映画初主演作となった『箱入り息子の恋』ですが、“35歳の童貞男”という特殊なキャラクターの役作りはどのようにされたのでしょうか?

 脚本を初めて読んだときに、健太郎はすごくマジメな男だと思ったし、しっかり筋が通っていてカッコいいなって思ったんです。でも、彼の通す筋は、周りの誰からも受け入れてもらえない。そのギャップみたいなものに悩み、苦しんできた人なんじゃないかとも思いました。だから、彼をバカにして演じたくないなって。とにかくマジメに演じようと思ったんです。結果的に、キモくなるのは全然よかったんですが、完成した作品を見たら、予想以上に、自分が気持ち悪かったですね(笑)。

――健太郎がかけているメガネは、星野さんご自身で選ばれたとか?

 そもそも、僕と健太郎とは近眼という以外、共通点がないんです。そういうこともあって、まず彼っぽいメガネを探してみたんですが、きっと彼のメガネに対する執着はスゴいと思うんです。自分ではいいと思って、同じタイプのものを5個ぐらい持っているはずで(笑)。でも、周りからはダサい、キモいと言われちゃうような感じ。そんなメガネを探しました。メガネってある程度その人の人格を形成しちゃうんじゃないかと思うんですね。だからしっかり選んで、監督に提案しました。

<次のページ> 役者としての転機になったアプローチ法

2013.06.07(金)
text:Hibiki Kurei
photographs:Asami Enomoto