●味わい深い「親戚のおじさん」映画(2)

『ぼくの伯父さん』

 工場を経営する裕福なアルペル夫妻はモダンでハイテクな邸宅を建て、息子のジェラールと3人暮らし。だけどジェラールは家にいるより下町のアパートで気ままに暮らすユロ伯父さん(ジャック・タチ)と遊ぶのが大好き。両親はのんきなユロ伯父さんのことを心配して仕事やお見合いを世話しようとするが、うまくいかない。伯父さんどうなっちゃうの……というお話。

『ぼくの伯父さん』の好きなところ

 主人公のユロ伯父さんをはじめ、絵に描きたくなるおじさんがたくさん出てくるOJISANアートブックのような作品です。おじさん以外にも、ジェラール君の超近代的な家や、おじさんの住んでいる不思議な家、インテリア、お洋服、音楽、隅々までどのシーンで止めてもかわいいです。さすがフランス!

 昔観たときはすっとんきょうなおじさんにひかれるジュラール君の気持ちがよくわかると思ったけど、今見たら普通に生きてきたはずなのにちょっと変な人扱いされているおじさんの気持ちもわかり、意外と複雑な心情になりました(笑)。

『ぼくの伯父さん』

監督・脚本・主演:ジャック・タチ 1958年公開 フランス映画

2021.02.25(木)
文=なかむらるみ、編集部
絵=なかむらるみ