イキイキとした女の子を応援したくなる4曲
●早見 優「夏色のナンシー」
「恋かな Yes!」というハジケた入りから「か~ぜ~が~吹くたび~」とローラースケートで走るような風を感じる切り替わりが最高。
恋愛に積極的だけど、決してウジウジ粘着質ではない、ナンシーのお人柄をメロディーからも感じるようではないか。
●松本伊代「センチメンタル・ジャーニー」
「伊代はまだ16だから」と名前と年齢が入ることで、湧き上がる特別感。
「まだ16だから」のあとの「スィートリールーシックスティーン(sweet little sixteen)」というコーラスの気持ち良さ。
松本伊代の声の低さを活かしつつ(筒美さんが彼女の声をとても気に入ったそうだ)若さの素晴らしさ、浮かれっぷりを見事表現!
湯川れい子さんの歌詞と筒美メロディーという精巧な部品が噛み合いでき上がった、誰でも16才に戻れるタイムマシン。
●斉藤由貴「情熱」
斉藤由貴×松本隆×筒美京平はエモーショナル・トライアングル。
雪に消えてしまいそうなのに、なかなか消えないロウソクの火のチロチロを思い出させるメロディーが素晴らしい。
そして斉藤由貴の高音。同じエモーショナル・トライアングルによる「卒業」は「制服の、胸のボタンホゥ(を)↑」、そしてこの「情熱」では「じょホゥ(情)↑熱」。
どちらもため息のようにかすかに上がる「ホゥ↑」が秀逸。
●中山美穂「C」
少女から大人になるシーンを思わせる内容だが、表現が美しくて気品すら溢れる松本マジック。
さらに「ピアノのように優しく弾いて」の音符がテテテッと駆けていくメロディーでファンタジーを盛る筒美ミラクル。
「Cから始まる恋のバラード」で一度止まり、「抱きしめて」とキリッと再開することで乙女の決意を感じるデンジャラス!
松本隆と筒美京平が魔法をかけまくっている一曲。
2020.11.16(月)
文=田中 稲