●幕張メッセのステージに立つ一方「短歌甲子園」でも優勝

――結成から数カ月にして、ロッキング・オン主催オーディション「RO69 JACK 2016 for COUNTDOWN JAPAN」で優勝。年末に開催された「COUNTDOWN JAPAN16/17」の出演権を手にされます。

 結成後、月に2、3回ライブハウスに立ちながら、「受かればいいなぁ」ぐらいな気持ちでオーディションに応募したのですが、順調に進んでいきながらも、さすがに決勝大会で、自分たちの名前が呼ばれるとは思いませんでした。

 同時優勝した同年代のbetcover!!とのいい出会いもありました。その後の幕張メッセのステージは客席が真っ暗だったこともあり、まったく緊張しませんでしたね(笑)。

――その一方で、17年の「牧水・短歌甲子園」団体戦で全国優勝されますが、短歌を始めたきっかけは?

 高2のとき、軽音部と文芸部を掛け持ちしている先輩がいて、僕が曲を書いているのを知っていたので、ある日、歌会に声を掛けてくれたんです。それをきっかけに、文字数が制限されている短歌の面白さを知り、僕も文芸部と兼部するようになったんです。

 短歌を始めたことで、自分がどういう歌詞を書きたいのか? というものがハッキリ見えてきました。チームのみんなに助けられ、全国優勝をすることができましたが、僕自身、短歌に勝ち負けが明確にあるとは思ってないので、あまり実感はないですね。

 大会後の食事会で、俵万智さんにお会いできたのも、いい思い出です。

――今回、映画初出演となった『君が世界のはじまり』では、ふくだももこ監督から直接、出演オファーが来たそうですね。

 ある日、バンドのインフォメールに、制作会社さんから直接メールが来ました。ふくだ監督は、僕が以前「クイック・ジャパン」に書いた文章を読んだことをきっかけに、バンドのことも知ってくださったようなんです。

 僕自身、演技をすることなんて考えてもいなかったので、「どうしよう?」と、てんやわんやだったのですが、バンドメンバーのみんなも「いいんじゃない?」と言ってくれたので、監督にお会いしました。とても光栄な話だったので、断る理由はありませんでした。

2020.07.31(金)
文=くれい響
撮影=平松市聖