おこもり期間中、家で過ごす時間が増えたからこそ、久しぶりにゆっくり読書をした人も多いはず。気になるあの人が読んでいたのはどんな本?

 家の本棚を見返して久々に読んだエッセイや詩集、いつか読もうと思って積読していた中から発掘した小説やマンガなど、手に取った理由とともに、作品の魅力を伺いました。

 今回紹介してくれるのは、4人組ロックバンド「クリープハイプ」のヴォーカル&ギターを担当し、小説やエッセイなどの執筆活動でも注目を集める尾崎世界観さんです。


1冊目『電話・睡眠・音楽』(川勝徳重)

装丁とタイトルの静けさに惹かれて

トーチコミックス 1,300円。

 「装丁とタイトルの静けさに惹かれて読みました。淡々としているけれど、決して声が小さいわけじゃない。他人の家の晩ご飯のにおいを嗅いでるような、あったかくて寂しい気持ちになります。

 どの話もしっかりソーシャルディスタンスを保っていて、不思議な距離感で伝わってきます。

 どんなに深く突きつめても、結局ただの良いか悪いかでしかない。作品に触れてから少しずつ細部を忘れていって、最後には全部忘れて、ただ良かったという感情だけを覚えている。それで良いし、これはそんな作品だと思います」

◆あらすじ

漫画家としてだけでなく、編集者・評論家としても活躍する1992年生まれの著者による短篇作品集。藤枝静男の「妻の遺骨」や梅崎春生の「輪唱」といった短編を漫画化した作品や、赤塚不二夫の満州引き上げ体験を絵物語にした「赤塚藤雄の頃」など、13篇を収録。巻末には、13ページにわたって、一つひとつの作品の制作プロセスを著者自身が説明していく「著者解題」が収録されており、読み応え満点。

2020.06.01(月)
文=CREA編集部