“全力”はやっぱり恥ずかしい

 では、今はどうなんでしょう。

「この10年間は映画、演劇、ラジオ、結構全部がんばってる気がします。でも僕、“全力でモノを作ってます”とは恥ずかしくて絶対に言わないですからね(笑)。

 やっぱり全力という言葉を信じてないし、そことの距離感はずっと保っていると思います」

 日常生活と創作活動は切り離すことができないため、24時間、仕事が頭から離れることはないという。

「0から1を作る時は無地のノートに書くんです。でも1から100にアイデアを広げる時は、めちゃくちゃスマホのメモ帳を使います。

 ひとりでお酒を飲みながらガーッと書くんですけど、翌日読み返すと8割はつまんない。でも2割はまあまあのアイデアがあるので、それを育てていく感じですね。

 ただ、撮影段階では気が散るのでスマホの電源は切っています。だから電源を入れる時がめっちゃ楽しみなんです。連絡が何件来てるかなって。

 メルマガしか来てない時もありますけどね(笑)」

松居大悟(まつい だいご)

1985年11月2日生まれ、福岡県出身。劇団ゴジゲン主宰。2012年に長篇初監督作 『アフロ田中』が公開。映画『アズミ・ハルコは行方不明』『アイスと雨音』『君が君で君だ』、ドラマ「バイプレイヤーズ」シリーズなど話題作を多く手掛ける。J-WAVE「JUMP OVER」(木曜・26時~)ではナビゲーターを務める。初めての小説『またね家族』(講談社)を上梓。

映画『#ハンド全力』

熊本の仮設住宅で暮らすマサオ(加藤清史郎)は、3年前のハンドボール部時代の写真をSNSに投稿。すると続々と応援コメントが寄せられ舞い上がるが……。2020年7月24日(金)熊本先行開、7月31日(金)より池袋シネリーブルほかにて公開予定。
http://handzenryoku.com/
※新型コロナ感染拡大の状況により変更の可能性があります。最新情報は公式サイトなどをご確認ください。

Column

C&C インタビュー

今月のカルチャー最前線。一押しの映画や舞台などに登場する俳優にお話を聞いています。

2020.06.14(日)
文=松山 梢
撮影=榎本麻美

CREA 2020年6・7月合併号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

偏愛のすすめ。

CREA 2020年6・7月合併号

好きなものがあるっていいよね
偏愛のすすめ。

特別定価840円

偏愛の対象は人それぞれ。愛するものと出合った人たちの言葉は、どれも純粋な喜びに満ちていて、耳を傾けているだけで幸せな気分にしてくれます。パンダに魔女っ子おもちゃ、脚付きの器にカツカレーの食べ方まで。マイワールドを謳歌する人々の“偏愛”を盛りだくさんでお届けします。気になる作品満載のBOOK in BOOK「愛してやまない映画とドラマ」も必見です。