●「ライダー」を経て福田雄一監督との運命的な出会い
――具体的に、どのようなことを学んだと思いますか?
「仮面ライダー」では、とにかく監督に怒られながら、数10テイクを重ねることで、お芝居を徹底的に学びました。まだ10代だったので、悔しくて、泣いてしまう日もありました。
恥ずかしながら、毎朝現場に行くという当たり前のことが苦手だったんです。「遅刻で、誰かに迷惑がかかる」ということを考えるようになり、多くの人たちによって、ひとつの作品が作られるという根本的なことを理解できるようになりました。
――自身にとって転機となった作品や出来事を教えてください。
14年、ドラマ「アオイホノオ」で福田雄一監督とお会いしたことです。この仕事をする前から、福田さんが脚本・監督した「THE3名様」という作品が好きだったんです。それで上京後に、福田さんの名前を知り、縁があって「アオイホノオ」に1シーンだけ出演させてもらったんです。
最終的に、もう1シーン増えて、その後「私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな」(福田雄一・演出)の木南晴夏さん主演回にも呼んでいただいたんです。それにより、自分の中で何かが大きく変わった気がします。
――具体的に、どのような変化があったのでしょうか?
もともと「THE3名様」のようなコメディが好きで、それまでも与えられた役を面白くしようと思いながら演じていたんです。そんな簡単に認められるわけがないんですが、福田さんは僕の演技を喜んでくれ、面白くないものはハッキリ「面白くない」と言ってくださったんです。
そして、「戸塚くんは負け芝居ができる」とも言ってくださいました。「負け芝居」とは、いわゆる表情などの受けのリアクション芝居なんですが、「自分の武器は何だろう?」と模索していた僕にとって、ちょっとした自信にも繋がったんです。
~次回は最新主演作の映画『ケアニン~こころに咲く花~』についても語っていただきます~
戸塚純貴
(とづか・じゅんき)
1992年7月22日生まれ。岩手県出身。2011年、ドラマ「花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス~2011」で俳優デビュー。「ゼクシィ」史上初のCMボーイに抜擢され、'17年の映画『ケアニン~あなたでよかった~』では主演を務める。そのほか、『銀魂2』(18年)、『青の帰り道』(18年)、『MANRIKI』(19年)、『“隠れビッチ”やってました』(19年)。現在、ドラマ「死にたい夜にかぎって」(毎日放送)が放送中。
『ケアニン~こころに咲く花~』
小規模施設から大型の特別養護老人ホームに転職した介護福祉士の大森圭(戸塚純貴)。効率やリスク管理を優先する大型施設ならではの運営方針に戸惑いを隠せないなか、認知症の美重子(島かおり)が入所。それまで妻を自宅介護してきた夫の達郎(綿引勝彦)は、施設を信用できず、担当となった圭にも厳しく当たることに。
4月3日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか、全国順次公開。
http://www.care-movie.com/2/
(C)2020「ケアニン2」製作委員会
Column
厳選「いい男」大図鑑
映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。
2020.03.27(金)
文=くれい響
撮影=鈴木七絵