数多くのアーティストにカバーされ続けるスピッツの名曲「楓」を原案にした感動作の映画『楓』が、12月19日(金)より公開される。大切な人を失う運命に向き合う双子の兄弟を演じたのは、俳優・福士蒼汰さん。作品の核となるスピッツ「楓」への想い、そして“一人二役”という難役とどう向き合ったのかなど、本作への思いをインタビュー。


音楽を映像化する作品に興味があった

――映画『楓』への出演オファーを受けて、どのようなお気持ちでしたか。

 まず、「スピッツさんの曲を原案に映画を作る」ということに驚きました。確かに、ここ最近は、『First Love 初恋』(22年)、『366日』(24年)など、ヒット曲を原案にした作品を目にする機会が増えているな、とは感じていました。でも、スピッツさんの「楓」がそうなるとは思っていなかったので、聞いた時はまさか……と思いました。

 自分にオファーをいただいたことも予想外で、本当に自分でいいのか、と思ってしまいました。

――オファーを受けた決め手は?

 音楽を映像化する作品に、すごく興味があったんです。まして「楓」は、僕が小学校に入る前にリリースされた曲。時代を超えていま映画化されるなんて、どれだけ力のある曲なのだろうと、あらためて感じました。脚本を読む前から「絶対やりたい」と強く思い、即決でお受けしました。

――スピッツの「楓」という曲には、どのような想い出がありますか。

 普段はあまり音楽を聴く方ではないのですが、「楓」だけは特別です。カラオケでもよく歌っていました。

――誰もが知る人気曲の映像化に、プレッシャーはありませんでしたか。

 もちろん「楓」は台本を読みながら毎日聴き返しましたが、プレッシャーはそれほどありませんでした。曲に込められたテーマやメッセージを意識するのではなく、脚本で描かれた物語の世界のなかで、須永涼・恵として生きる、ということを大事にしました。

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