●「理想の恋人賞」から「イケパラ」出演の王道キャリア

――そのことを知って、戸塚さんの反応は?

 もともと、映画を観るのは好きだったんですが、高校時代は芸能界にまったく興味がなかったんです。でも、母親はめちゃくちゃそっちの道に進んでほしかったみたいで(笑)、後で聞けば、子供モデルとかにも応募していたみたいなんです。

 それで就活が上手くいっていないときに、書類選考通過の結果が届くということもあって、母親に「これも運だから、やってみたら?」と勧められて、だんだんとやってみようと思うようになりました。

――そして、「理想の恋人賞」を受賞。 翌年、同コンテスト同期のファイナリスト12人で結成された劇団「劇男JB」に参加します。

 僕自身、お芝居することは初めてだったんですが、メンバー内で最年長だったことで、根拠のない自信があって(笑)、ちょっと調子に乗っていたとは思います。

 ただ、事務所での演技レッスンがとにかく苦手で、その反動もあって、さらに頑張るようになりました。

――それで、オーディションに合格し、ドラマ「花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス~2011」や「仮面ライダーウィザード」に出演されます。

 「イケパラ」の頃は、ジャージ姿でスーツケースを引きながら、岩手から通っていたのです。「ライダー」のときには上京して、本格的に活動する大きなきっかけになりました。

 右も左も分からないなか、1年間の撮影で、いろいろなことを学ばせてもらいました。マネージャーさんからは「映画版やイベントもあって、忙しいけれども、決して調子に乗らないように!」と、1年間ずっと言われていました。

2020.03.27(金)
文=くれい響
撮影=鈴木七絵