ベルギーを代表するショコラティエ、ピエール マルコリーニさんが、世界が注目する日本一の道具街、合羽橋へ。下町情緒あふれる商店街でみつけた「いいもの」って?


合羽橋をぶらぶら散策

 とある秋の朝、日本一の道具街と称される合羽橋にさっそうと現れた一人の紳士。ベルギー王室御用達のショコラティエとして世界で活躍するピエール マルコリーニ氏だ。

 いったい、ここに何を求めてきたのか!?

「東京に、調理道具が何でも揃う面白い場所があるって聞いて、何かいいものはないかな、と思ってね」

 「かっぱ橋道具街」は、浅草と上野の間にある南北約800メートルの商店街。道の両側には調理道具や包装用品、食品サンプルなどの店がずらりと並び、プロ・アマ問わず料理好きの人達にとって、なくてはならない場所だ。

 海外からの観光客も増え続けているという。短い東京滞在の合間をぬって合羽橋を訪れたマルコリーニさん。第一印象は?

 「この長い通りが全部道具街? 信じられない! こんなところ世界でも珍しい、いや、もしかしたら世界唯一かもしれない!」と、大興奮。

 通りを歩きながら店先を覗く眼差しは、プロのショコラティエというより好奇心旺盛な少年のよう。

 「これは何? どうやって使うの?」と、見たことのない道具やグッズに興味津々の様子だ。

 世界的なショコラティエとして慌ただしい日々を過ごすマルコリーニさんだが、休日には家族や友人に手料理をふるまうこともよくあるそう。

「僕のパスタは絶品だよ。仕事から離れて、好きなものを好きな人たちと一緒に食べながら過ごす時間は最高」

 どうやら合羽橋には、仕事というより、そうしたプライベートの時間を楽しむための「いいもの」を探しにきた模様。お目当ての包丁やはさみなどを吟味しながら、日本ならではのユニークな小物もチェック。

「伝統的な和食用の調理器具や、職人の素晴らしい手仕事が生み出す一生ものの道具と一緒に、キッチュな小物やカラフルなツールが並んでいたりして、ここはまるでワンダーランドだね!」

 ところで、マルコリーニさん。初めての合羽橋のご感想は?

「日本には毎年のように来ているけれど、今日は『東京の別の顔』を見た気分。たくさん刺激をもらいました。ここには、日本の古きよき精神と新しい活気が共存していて、何かを生み出すパワーがある。見るだけでワクワクするし、インスピレーションが湧きます。料理好きでなくても充分楽しめると思います」

 日本が誇る道具街、合羽橋は、世界で活躍する食のプロの心をしっかり捉えたようだ。

 それでは、マルコリーニさんが大興奮する姿を実況しよう。

2020.02.06(木)
Text=Miki Numata
Photographs=Masahiro Tamura(freaks)

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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