マジックにけん玉にAIに 大騒ぎな後半戦
■水森かおり「高遠 さくら路~イリュージョンスペシャル~」
2018年に引き続き、メイガスとコラボ。歌いながら人の胴体をぶった切るというイリュージョンに挑戦したかおり嬢。
最後のピンクの衣装への早替えも見事に決まったが、誰か彼女に伝えてよ。もうビックリサプライズ無しで歌っても誰も責めないと! でないとこのままメイガスの弟子になりそうで心配。
■三山ひろし「望郷山河~第3回けん玉世界記録への道~」
2018年より一人多い125人で挑戦。けん玉ギネスのプレッシャーを背負いながら、往年の三波春夫を思わせる笑顔と感情をこめた歌唱を貫く姿は感動。
結果は失敗だが、いやもう気にしなくていい。ギネス達成か失敗か聞かれても、すぐ答えず目が泳ぎまくるギネス公式認定員の方に同情。ものすごく言いにくかったのだろう。
■YOSHIKI feat. KISS<YOSHIKISS>「Rock And Roll All Nite‐YOSHIKISS version.‐」
YOSHIKIの「11歳の頃彼らの音楽に救われた」というエピソードを聞き、KISSって皆さんおいくつなのだろうかと素朴な疑問が浮かんだ。調べてみたらギターを壊していたポール・スタンレーさんは68歳。ジーン・シモンズさんに至っては70歳。素晴らしい。
■関ジャニ∞「関ジャニ∞前向きにきばってこーぜ! OSAKAメドレー」
5人になっても弾けた笑顔と歌唱の関ジャニ∞。なにわ男子の応援、そして増えていくピカチュウ! 踊りが揃うピカチュウがかわいくて悶絶!
50になって初めてファンクラブなるものに入り、それが関ジャニ∞だったという友人の気持ちもわからなくもない。いやもう、元気が出る歌声である。
■ビートたけし「浅草キッド」
ブルーのライトに照らされた孤独な背中が美しい……! 時には音が走ってしまうのもいい。
私はたけしさんのファンではないが、こういうのを聞かされると、嗚呼、やっぱり紅白は良い歌番組だと思うのである。「苦しかったけど楽しかった」そんな下積み時代をドッと思い出すカスレ声にむせび泣き。
■菅田将暉「まちがいさがし」
ファッショニスタの菅田君らしく奇抜な衣装を期待したが、よくよく考えたら、このメランコリーな曲調的にド派手なもん着てたら逆に浮いていただろう。
白組に合わせてか、染めた銀髪が美しい。演出側もそう思ったのだろう、歌唱中、カメラアングルはほぼほぼ菅田君のドアップだった。グッジョブ……。
■竹内まりや「いのちの歌」
おキレイ。私がCDなどで知っている竹内まりやの歌声より50倍くらい湿度が高かった。
■嵐「カイト」
嵐ってこんなに歌がうまいのかと今さら仰天しまくった。
そんな私に対し姉と母が「私たちは天皇陛下の即位を祝う国民祭典の『Ray of Water』を聞いて気づいてましたー」とドヤ顔を向けてきたが、それとて、ものすごく最近の話ではないか。家族全員気づくのが遅い。
■氷川きよし「紅白限界突破スペシャルメドレー」
とても楽しみにしていた「大丈夫」が「大丈夫! 大丈夫!」だけってオイオイと思ったが、仕方がない。キー様が今回尺を取って歌いたいのは「限界突破×サバイバー」のほうなのだろう。龍がガックンガックン揺れるのも気にしないほどヘドバンする姿に後光が。
2020.01.22(水)
文=田中 稲
撮影=文藝春秋