事務所に所属したことで、
自分の無力さを知る
――その後、小路紘史監督の映画『ケンとカズ』に出演するきっかけは?
小劇場の舞台に立っていたときに毎熊克哉という人に出会って、「友達の監督が映画撮るから、オーディションを受けてみない?」と誘われたのがきっかけです。それで20歳のときに、『ケンとカズ』でチンピラのテルを演じることになりました。
でも、やっぱりネジが外れているというか、芝居はアドリブばかりだし、現場から家に帰る交通費がないときは、普通に路上で寝たりして、とにかく自由でした。髪の毛も2年ぐらい伸ばしっぱなしでしたし。当時の僕の生き方そのものがテルだったような気もします。
――さらに、ワークショップ・オーディションを経て、現在の事務所(オフィス作)に所属になります。
13年頃、『ケンとカズ』撮影直後に、最初の宣材写真を撮るときに社長の(松田)美由紀さんから髪を切るよう命じられまして(笑)。それでロン毛をバッサリ切り、いただいた仕事の現場に行ったとき、初めて自分の無力さを知るんです。
「1年以内に必ず売れる!」と思っていた自信も、現場でスゴい人たちと出会ううちに、次第になくなって。結果は出ないし、23歳ぐらいのときは、「どうしたら役がもらえるか?」ということを模索し続けていました。
2019.12.20(金)
文=くれい響
撮影=佐藤 亘
ヘアメイク=山崎惠子