リアルな演技を
目指すことが使命
――常に海外を意識している理由は?
いろんな素晴らしい海外の映画に出会うたびに、言葉の壁を超える感動みたいなところで勝負したいとも思うんです。
今、来年2月の舞台『ねじまき鳥クロニクル』の稽古をしているんですが、初めて海外の演出家の方(インバル・ピント)と仕事をしていて、むちゃくちゃ刺激を受けているんです。
自分の表現の可能性をもっと知りたいし、勉強したい気持ちが高まっています。
――来年30歳を迎えるにあたり、どのような俳優を目指していますか?
映画ファンとして、自分自身がその作品を観て、ワクワクしたい気持ちがあるんですが、その中で普段、役者をやられていない素人の方の芝居に心を動かされることが多いんです。
『色即ぜねれいしょん』でデビューしてから10年経ちましたが、今あえて、そんなリアルな演技を技術的にどう出せるのか? ということを考えるようになりました。
そして、それを目指すことが役者としての使命なのかな? と思っています。
渡辺大知
(わたなべ・だいち)
1990年8月8日生まれ。兵庫県出身。ロックバンド・黒猫チェルシーのボーカルとして注目され、2009年に演技未経験ながら映画『色即ぜねれいしょん』で俳優デビュー。2015年『モーターズ』で映画監督デビュー。主演映画『僕の好きな女の子』が公開待機中。舞台『ねじまき鳥クロニクル』(東京芸術劇場プレイハウス・2020年2月11日[火]~3月1日[日]公演予定)
『わたしは光をにぎっている』
亡き父の親友・京介(光石研)を頼りに上京し、彼が経営する都内の銭湯に身を寄せた澪(松本穂香)。都会での仕事探しに苦戦しながら、映画監督志望の銀次(渡辺大知)やOLの美琴(徳永えり)など、個性的な常連客たちと交流することで、彼女は一歩一歩成長していく。
2019年11月15日(金)より、東京・新宿武蔵野館ほか全国順次公開。
http://phantom-film.com/watashi_hikari/
(C)2019 WIT STUDIO / Tokyo New Cinema
くれい響 (くれい ひびき)
1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。
Column
厳選「いい男」大図鑑
映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。
2019.11.15(金)
文=くれい響
撮影=平松市聖