クライマックスは国宝の社殿で
「やくばらい祈祷」

 延暦寺を後にし、向かうのは比叡山の麓にある日吉大社。ここは全国3,800あまりの日吉・日枝・山王神社の総本宮。都の表鬼門にあたることから災難除けを祈る社として、延暦寺が開いてからは天台宗の守り神として存在している。

 ここでは、西本宮で厄払いのご祈祷を。祝詞の読み上げとお祓いが行われた後に玉串を神様に捧げて自ら厄払い。

 それはほんの数分の間だけれど、とても神聖な気持ちにさせてくれる時間。比叡山に源流がある大宮川の水がそこかしこに流れる境内は清々しくて、なんだか生まれ変わったような気分にさえなる。

 お下がり(神様にお供えしたもの)は、日吉大社の神様のお使い「神猿(まさる)」さんが描かれたお守りやお茶の葉、比叡山名物のそばぼうろ。

 これも、「比叡山やくばらい散歩」の参加者だけがもらえる、ありがたく貴重な限定品だ。

 「比叡山やくばらい散歩」のクライマックスであるご祈祷を終えた後は、すぐ近くにある旧竹林院の庭を散策。

 手入れが行き届いた庭に見とれてしまうけれど、菊の花を中心に季節の花を浮かべた特別な手水舎(ちょうずしゃ)がどこかに用意されているはず。じっくりと散策してみて。

 歩き回ればお腹も空く。そんなときは、ぜひこのプログラムの参加者しか食べられないランチを。

 創業300年を誇る「本家鶴喜(つるき)そば」に特別に用意された「やくばらい蕎麦」は、“細く長く”を象徴する蕎麦と、五色のあられが乗った蕎麦団子のお椀、湯葉料理など縁起物が揃った、見た目も華やかなランチ。

 断食の行を終えた修行僧たちが、弱った胃をならすために蕎麦を食べていた……そんな昔の比叡山を思い描きながら、おいしい蕎麦で、厄払いを締めくくりたい。

星野リゾート ロテルド比叡

所在地 京都市左京区比叡山一本杉
電話番号 0570-073-022
https://www.hotel-hiei.jp

芹澤和美 (せりざわ かずみ)

アジアやオセアニア、中米を中心に、ネイティブの暮らしやカルチャー、ホテルなどを取材。ここ数年は、マカオからのレポートをラジオやテレビなどで発信中。漫画家の花津ハナヨ氏によるトラベルコミック『噂のマカオで女磨き!』(文藝春秋)では、花津氏とマカオを歩き、女性視点のマカオをコーディネイト。著書に『マカオ ノスタルジック紀行』(双葉社)。
オフィシャルサイト http://www.journalhouse.co.jp/

Column

ウェルネスを極める 星野リゾートの旅

星野リゾートが今、特に力を入れているのが「ウェルネスな旅」。バラエティに富んだアクティビティ、そしてオーガニックな食事などが楽しめる、ヘルスコンシャスなステイを各地からご紹介します。

2019.08.31(土)
文=芹澤和美
撮影=釜谷洋史