神聖な朝のお勤めから始まる
やくばらい散歩
![客室に用意されている「浄化セット」。延暦寺で祈祷した塗香で身を清めてから、朝のお勤めに出発!](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/d/f/-/img_df6a9e7c1890e99dc35c42cfb575d4ce74411.jpg)
翌朝は、比叡山延暦寺の根本中堂で行われる朝のお勤めから1日が始まる。「旅行に来ているのに早起きなんて」と思ったら損!
僧侶による読経や穏やかな法話に心と耳を傾ければ、きっと、日々の暮らしに生かせるヒントや気づきが得られるはず。
![朝の勤行の後の朝食。クエン酸が多く含まれ、野菜と一緒に摂れば疲労回復に効果があると言われるお酢をとりいれた料理でエネルギーチャージ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/a/c/-/img_acab29855071275629a617e8de8f28a1137621.jpg)
厄払いはまだまだ続くけれど、朝のお勤めの後は一度、「星野リゾート ロテルド比叡」に戻って朝食をいただく時間が用意されている。これも比叡山エリアにある宿だからできること。
テーブルに並ぶのは、美しくヘルシーな料理。地元で天然醸造酢を作り続ける「淡海酢(たんかいす)」とコラボレーションしたオリジナルのドレッシングも野菜にぴたりとあって、朝から食が進んでしまう。
![比叡山の開祖である最澄が大陸から持ち帰ったもののひとつが菊。以来、比叡山では伝統野菜として食用菊が栽培されている。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/1/f/-/img_1ff7eba13ca125de2ed2a81c8fadba5d112363.jpg)
この朝食には、ユニークなデザートも付く。精進料理として古くから食べられている食用菊を使った菊善哉(きくぜんざい)だ。
善哉とは、仏教用語で、お釈迦様が弟子に言われた「善き哉(よきかな)」という言葉にルーツがあり、菊は邪気を払うと言われている。
そんなダブルでありがたい菊善哉を食べて厄払いに出かければ、よりいっそう効果も期待できそう。
![朝食でお腹が満たされたら、ふたたび延暦寺へ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/5/-/img_c5eb748eddb26f1368ecbf2f16fc71a4180282.jpg)
世界遺産でもある延暦寺は旅行者も多く、ともすれば観光スポットとしてのイメージもあるかもしれない。でも、その真の姿は日本屈指の修行の場。
7年かけて峰々を縫うように巡って礼拝し、その合間に9日間も断食、断水、不眠、不臥で経を唱える「千日回峰行」、12年も俗世間から離れたった一人で浄土院に籠る「十二年籠山行」、静かな堂内でひたすら座禅に没頭する「四種三昧」など、想像を絶するような荒行が連綿と続いている。
![お堂を巡って御朱印をもらうのをお忘れなく。「星野リゾート ロテルド比叡」オリジナルの御朱印帳なら、さらに旅の思い出に。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/1/d/-/img_1d926b97417f8101f36f49e79c5385fa94716.jpg)
もちろん、「比叡山やくばらい散歩」に厳しい修行はなし。境内にある大講堂や文殊楼(もんじゅろう)などのお堂を巡り、御朱印をいただくことで、厄払いをする。
修行と違って簡単だけれど、非日常に身をおくだけでも、心の浄化になる。
![宿坊でカフェタイム。珍しい梵字のラテアートに目が釘付けに。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/d/c/-/img_dcd3bc1ec7fcbd78b2f8a1d39d5c8a1098652.jpg)
心を和ませてくれるのは、比叡山の豊かな緑と、宿坊でいただく梵字ラテ。自分の干支に因んだ梵字のラテアートが施されたラテは、比叡山ならではのおもてなしだ。
宿坊と聞くと簡素な場所を想像してしまうけれど、こんな遊び心もあると知れば、比叡山が身近に思えてくる。
2019.08.31(土)
文=芹澤和美
撮影=釜谷洋史