フレンチでも和食でもない
「Nipponキュイジーヌ」

 日本旅館に泊まる一番の楽しみといえば、料理。ゆったりと旬の食材を慈しむ時間は、ああ、旅をしているのだなあと満足感を与えてくれる。

 ここ、「星のや東京」ならなおのこと。

 魚をメインにその時々に届く最良の素材を生かし、調味料ひとつひとつまで厳選したコース料理のテーマは「Nipponキュイジーヌ」。

 フレンチでもなく、和食でもない。フレンチの世界で名を馳せるシェフ、浜田統之料理長の想いと技法から生まれる、日本ならではのフランス料理だ。

 「Nipponキュイジーヌ」は、地層をイメージしたダイニングで。

 テーブルに用意された品書きを広げると、そこに記されているのは、料理をイメージした一文字と、食材のみ。

 そんな謎解きのような品書きを眺めながら、これから運ばれてくる料理に思いを巡らせる時間も、ワクワクする。

 料理は、食材も盛り付けも、サプライズの連続。

 市場に出回らずにその地域だけで消費されていた珍しい魚や、調理法がなく注目されることがなかった魚が登場することも。

 そんな名もなき魚や、骨やガラまで無駄なく料理に使うスタイルは、日本古来の食を大切にする心をも感じさせる。

 それぞれの食材が育った背景に思いを巡らせた料理は、一品一品が一話完結のストーリーのよう。

 たとえば、岩陰に身を隠すように生きる魚はその身を葉で隠して皿の端に配置し、河川から海に注ぎ込む森のミネラルに育てられた魚は、野草やキノコとあわせる。

 器の上に表現されているのは、日本の豊かな海や清らかな川、栄養豊富な土。食べて、感じて、考えて。こんなふうに、料理を慈しむようにして食べるのなんて、何年ぶりだろう。

 美味しいだけじゃない、食べるほどに、幸せに、そして力がみなぎるような「Nipponキュイジーヌ」は、「星のや東京」でしか、味わうことができない。

星のや東京

所在地 東京都千代田区大手町1-9-1
電話番号 0570-073-066(星のや総合予約)
https://hoshinoya.com/

芹澤和美 (せりざわ かずみ)

アジアやオセアニア、中米を中心に、ネイティブの暮らしやカルチャー、ホテルなどを取材。ここ数年は、マカオからのレポートをラジオやテレビなどで発信中。漫画家の花津ハナヨ氏によるトラベルコミック『噂のマカオで女磨き!』(文藝春秋)では、花津氏とマカオを歩き、女性視点のマカオをコーディネイト。著書に『マカオ ノスタルジック紀行』(双葉社)。
オフィシャルサイト http://www.journalhouse.co.jp/

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2019.06.29(土)
文=芹澤和美
撮影=鈴木七絵