■星のや軽井沢 (前篇)

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 国内のみならず海外に至るまで、さまざまなロケーションに魅力的な施設を展開する星野リゾート。その星野リゾートが、今、特に力を入れているのが「ウェルネス」です。

 この連載では、バラエティに富んだアクティビティ、そしてオーガニックな食事などが楽しめる、ヘルスコンシャスなステイを各地からご紹介します。


集落に滞在するように
休日を過ごす

 凛としたすがすがしい空気と、緑が香る風。「星のや軽井沢」で車を降りたとたん、「空気が違う!」と実感する。

 ふ~っと深呼吸をすると、まるで全身が洗われるよう。ここは標高約1,000メートルに広がる滞在型リゾート。湯川とハルニレの木が彩る風景のなかに、忙しい現代人を癒す空間が広がっている。

 リゾートに入り目にするのは、棚田を模した庭と、水辺に点々と離れが立つ集落のような風景。昔の日本を思わせる、牧歌的で温かな景観は、初めて訪れたのにどこか懐かしくて、ただいるだけで、心がほっとする。

 地形を生かし、曲がりくねった路地で繋がるリゾートには、3つのタイプ、全77室の客室が点在している。

 「水波の部屋」は敷地の中央を流れる湯川にせりだすように建てられ、「山路地の部屋」は野鳥の森を望む高台に立ち、坪庭が落ち着く「庭路地の部屋」は、集落の中心から一筋入った路地にある。見たい、感じたい風景に合わせて部屋を選ぶのが楽しい。

 宿泊は基本的に2泊から。地中熱を生かした床暖房がじんわりと暖かな部屋に籠るのもいいけれど、パブリックスペースもなかなかの癒し空間だ。

 たとえば、メインの建物「集いの館」にあるライブラリーラウンジは、読書やドリンクを楽しめるスポット。快適なソファに身を委ねながら、一面の窓の外に移りゆく風景を見ていると、あっという間に時間が経ってしまう。

 特等席は、棚田の庭を望む開放的な棚田テラス。冬の凛とした空気のなか、ふるまわれる信州風のぜんざいをハフハフと食べながら温まるのも、幸せな時間だ。ここに滞在している間は、ゲストというよりも「集落の住人」になった気分で、思い思いに過ごしたい。

2018.12.29(土)
文=芹澤和美
撮影=鈴木七絵