#174 Cetara
チェターラ(イタリア)

南イタリアのソレント半島の南岸、アマルフィ海岸。
前回は海岸線に連なる町の中でもメジャーどころをピックアップしましたが、今回は「食」をテーマにさまよった、小さな町をご紹介しましょう。美味しい名物料理と出会えました!

まず向かったのは、コラトゥーラ・ディ・アリーチ・ディ・チェターラ(以下、コラトゥーラ)と呼ばれる、魚醤の一種の産地。

ナンプラーやニョクマム、しょっつるなど、アジアの調味料だと思っていた魚醤が、ヨーロッパにもあったとは!

古代ローマ時代に使われていた調味料「ガルム」から変遷してきたというコラトゥーラ。
そもそものガルムは肉料理、魚料理、デザートにまでも振りかけられ、食事に欠かせないばかりか、水で薄めたものは犬にかまれた時や赤痢などにも万能薬として使われたとか。
オセアニアの万能薬「ノニ」をも超える、信頼ぶり。もはや魔法の域です。
けれど古代ローマ時代の終焉とともにガルムの製造法も立ち消え、ヨーロッパではこのコラトゥーラくらいしか残っていないそう。

その産地が、アマルフィとサレルノのほぼ中間に位置するチェターラです。アマルフィ海岸では今や珍しい漁業を主産業とする小さな町です。

2019.06.15(土)
文・撮影=古関千恵子