会場に響き渡る
ヒデキコールに泣く

 いざ、「HIDEKI SAIJO FILM CONCERT 2019 THE 48」17日昼ライブ当日。開演20分前にたどり着き、ドリンクチケットで交換したビールを一気に飲み干し慌ててグッズ売り場へ。

「Tシャツ下さいッ。なに黒のL寸が売り切れ? じゃあM寸カモンバイラモス!」

 一人参戦の緊張と急なアルコール摂取のため、ハイテンションどころかハイハイハイテンションになってしまっている自分が怖い。

 ペンライトも購入してみた。人生初である。

 振る。光らない。振る。光らない。先を叩いてみる。下のほうをヒネる。光らない!

「うおおおおお!!」

 私は50年も生きてきて、ペンライトの光らせ方一つ知らん(崩れ落ち)! 無力。あまりにも無力。

 このままではただのぼんやりしたピンクの棒を振る人になってしまう……。そんなこっちゃヒデキに申し訳なくて大阪に帰れない。誰か~ッ!!

「ペンライトを輝かせたいのですがなにぶん初めてのことでして」
「ひえっ」

 突然呼び止めたのでスタッフ嬢が一瞬飛びあがっていたが、すぐ聖母のような微笑みで「折るんですよ」と教えてくれました。いやもう本当にありがとうございます、サンタマリア……。

 何でも、最近使われるこのタイプのペンライトのことは「サイリウム」と呼ぶらしい。

 会場はほぼ満席。一人参戦の人も多いようである。おおッ、横の席の上品な装いのマドモアゼルもまさに!

 「私も一人参戦なんですよ」と話しかけたい。いや待て。馴れ馴れしい話しかけが苦手という人も多いと聞く。でも「ヒデキのどの曲が好きですか?」とか聞きたいッ。

 そんなモジモジを続けながら、結局モジモジ以上のなにもできないまま、会場は暗転した。

 さあ始まるわ!

2019.06.10(月)
文・撮影=田中 稲