サクジュワを引き立てるのはねぎとたれ?
さて、ついに登場したのが、から揚げ5切れ、ごはん、新しいスープ、たくあん。から揚げにはよく「表面がサクッとして肉汁がジュワ~」という表現が使われる。こちらのから揚げはまさにそんな風体なのだが、特にサクジュワを引き立てているのが、ねぎとたれなのではないかとこっそりと推察しているのだがどうだろう。
私は元来酸っぱいものが苦手で、しゃぶしゃぶのポン酢もあまり使えないほどなのだが、ここの酸っぱいたれは非常に惹かれるものがある。さらに、水にさらしてしゃきっとさせたごく薄い小口切りのねぎをどっさり入れると、こちらならではの「たれ」が完成する。これをつけると鶏のから揚げの、サクッとしてジュワッとしてうま~! な特長が引き立つのだ。こちらのから揚げを外で夢想しているときも、思い出すのはこのたれとの絡み。ほかにはない組み合わせに、どうも心を持っていかれる。魔性の正体はこいつ?
また、最初は塩で、たれのねぎ投入具合で、さらにテーブルに用意された山椒を塩にもたれにも入れてみるなど、味に変化をつけていけるのもいい。
から揚げ自体は片栗系の薄っすらとした衣がハラハラとして上品なタイプ。下味もあまりなく、すっきりとしたから揚げだ。もちろんごはんにもぴったり。サラダとかきゃべつの千切りといったいるのかいらないのかわからないようなつけ合わせもなく、シンプルな構成もうれしい。その代わりといってはなんだが、箸休めにもなるオレンジ色のたくあんがまた美味。ごはんの上に待機させておき、ときどきカリッと食べる。ちょっと甘くてこれもまたなんだか中毒性のあるたくあんだ。
そんなわけで目くるめくランチタイムを過ごせば、ちょっとした乗換えも食後のお散歩みたいなもの。充実した午後への活力となるのである。
やきとり宮川
住所 東京都中央区日本橋茅場町3-5-1
電話番号 03-3668-7080
Column
北條芽以のLOVEレストラン
美味なるLOVEなひと皿を求めてレストランに通う日々。
著者が偏愛する、この季節、このお店のLOVEはいったい何? あなたの次のレストラン選びに参考になること間違いなし!
2012.05.16(水)