選ぶのが楽しくなるいろいろなどらやき
「キツネイロ」のどらやきをご紹介しましょう。
「小豆」は、生地にかぼちゃが入っていると聞いてびっくり。「季節限定のどらやきを考えていた時に、生地にかぼちゃを入れたら、とてもしっとりしたんです。味に出ない程度の量を入れています」と田中さん。
小豆餡は、生地に馴染みやすいように柔らかめに炊き上げてあります。粒感をしっかり残しているのも、田中さんの好み。食べるとふんわり、しっとり。噛むうちに、口の中でとろけてなくなり、ほんのり、優しい甘さが広がります。
「抹茶」は、生地にも餡にも抹茶が使われています。挟んでいるのは、抹茶バター餡と小豆餡。2つの餡が抹茶の風味を際立たせて、絶妙の味わい。「抹茶バター餡のクリーミーさ、口溶けがポイント。抹茶の風味を程よく出すために、生地も餡も、たいへん苦労しました」と田中さん。
「レモン」は、黒糖を使った生地に、小豆餡と国産レモンの錦玉羹をサンド。酸味が広がり、さわやかな後口です。「錦玉羹にフルーツの風味を閉じ込めることで、フルーツのどらやきが実現しました」と田中さん。元々の発想は、フルーツ大福。小豆餡とフルーツの酸味が合うはずと考え、和菓子の寒天で固めた錦玉羹に注目。錦玉羹の硬さを決めるのがたいへんだったと言います。
「木苺」は、同様に、木苺の錦玉羹を使い、小豆餡とバター餡を一緒にサンド。竹炭を入れた生地に、木苺の赤い色が映えます。食べると強い酸味にドッキリ。今までになかったどらやきの味。「おいしさの最強の組み合わせ、バターと餡を横並びにしました。食べすすむと、味が変化するんです」。
ひとつ食べると、もうひとつの異なる味を味わいたくて手が伸びます。お茶を飲まなくても、しっとりしていて食べやすいのも大きな魅力。
季節限定の商品も色々あって楽しい。
「ゆずしょうが」は、大人味のどらやき。ゆずしょうがの錦玉羹と小豆餡を、かぼちゃを入れた生地に挟んでいます。柚子のまろやかな酸味とみじん切りした生姜のピリッとした刺激がいい。
「渋皮栗」は、渋皮煮の栗が丸ごと1個入った、贅沢な逸品。生地はかぼちゃ入り。小豆餡だけでなく、バターホイップが入っているのは、ケーキのモンブランのイメージだそう。
どちらも、春までの限定商品。これからどんなどらやきが登場するのか、とても楽しみ。「テーマは、果実と木の実、茶の葉」と田中さん。今までのどらやきにはなかった、酸味や食感が印象的で、一度食べたらやみつきになります。
おやつにぴったりのどらやき。手に持って、気軽に食べるのもいいし、緑茶やほうじ茶、和紅茶とも合わせたい。
「もっともっと、たくさんの人に食べてみてもらいたいですね。食べると消える、飲み物を忘れるくらいの口溶けの、究極のどらやきを目指しています」と田中さん。
「森(のおはぎ)から飛び出した、キツネイロに焼いたどらやきです(笑)。毎日のぞきたくなるような、可愛い和菓子屋さんでありたい」
キツネイロ
所在地 兵庫県伊丹市伊丹2-3-20-101
電話番号 072-768-9158
https://kituneirodora.jimdo.com/
Column
そおだよおこの関西おいしい、おやつ紀行
生まれも育ちも神戸の生粋の神戸っ子で、長年の関西での取材経験からおいしいお店を知り尽くしている、ライターのそおだよおこさんが、関西の「今、食べてほしい!」というおやつを紹介します。
2018.01.14(日)
文・撮影=そおだよおこ