こんがり、ふんわり焼かれた生地に、小豆餡を挟んだ「どらやき」。関西では、奈良の三笠山に似た形から、「三笠」「三笠焼き」などと呼ばれます。目の前で生地を焼き、できたてを売る大好きなお店が京都にあったのですが、何年か前に閉店してしまいました。
おいしい「どらやき」を探していたら、以前ご紹介した大阪・豊中市の「森のおはぎ」の卒業生が、2017年11月23日に兵庫・伊丹でどらやきの専門店をオープンしたとのニュース。さっそく出かけてみました。
場所は、JR伊丹駅と阪急伊丹駅の間。伊丹は、江戸時代から酒造りが盛んで、全国に先駆けて産業としての清酒醸造を確立した地としても知られています。
新しく開発されたピカピカのエリアの一角に、キツネのマークの暖簾。ガラス張りの明るいお店が「果実、木の実、茶の葉のどらやき」の「キツネイロ」です。
右:ショウケースに並ぶどらやきの見本。
店内は、いたってシンプル。古い箪笥を台にしたカウンターの上に、どらやきの見本が並んでいます。
「2年かかって、ようやく、おいしいどらやきができました」と、割烹着姿の店主・田中純子さん。
右:ショウケースの隅に飾られた小物たち……真ん中に、キツネに乗った田中さんの置物が!
「森のおはぎ」は、2010年7月7日、豊中市岡町にオープン。小ぶりで多彩な味のおはぎが大人気になり、2014年には大阪・北新地に姉妹店「森乃お菓子」ができました。その北新地店のオープン時から働き始めた田中さん。10代の頃から「どらやき屋をしたい」と思っていたのだそう。「ドラえもんが好きだったからでしょうか」と笑います。
「もの作りをしたかった。手の込んだことをあたりまえのようにやり、思いを込めたていねいな接客をする『森のおはぎ』で働くうち、小さい時からの、どらやきのお店の夢が大きくなっていきました」。
社内独立の形で、どらやき専門店の立ち上げと試作に着手。
「生地と餡。それぞれを極めたら、おいしいどらやきができると思って作ってみたら、味がぼんやりしてしまうんです。バランスがとても難しい。大きすぎず小さすぎず、もう1個食べたくなる、どらやき。今も試行錯誤しています」とにっこり。
右:ふんわり優しく、掌で優しく押さえて仕上げます。
2018.01.14(日)
文・撮影=そおだよおこ