ファンとして、演者として考える
コミック原作映画
――近年、日本映画界の主流がコミック原作になりましたが、コミックやアニメ・ファンでもある高杉さんは、これについて、演者としてどのように捉えていますか?
もちろん、自分の中では役者とファンとしての区切りもありますが、もともとコミックの実写に関しては、批判的ではなかったんです。逆に「どんな視点で、みなさんが実写版を作っているのか見てみたい」と思う気持ちの方が強かったんですよ。でも、いざ自分が演じるとなると、原作ファンの方の気持ちも分かるので、どうにかして近づけていきたいと思う一方で、原作を2時間で収めた台本では設定が変わったりもする。そのズレのようなものを決して自分の中で混同しないこと。ここが大事だと思いました。
――そんななか、『PとJK』『ReLIFE リライフ』では演者として、どのようなアプローチをされていきましたか?
あくまでも、2時間の映画でのキャラクターとして考えながら、台本には書かれていない細かい設定のようなものを原作から抜粋して、役作りに加えたりもしています。とはいえ、監督によって、みなさん考え方も違いますし、作品の作り方や色も違いますし、それによって役の作り方も変わったりします。僕としては、できるかぎりそれに従って役作りをしようとは思っています。
――ちなみに、先ほどの『ReLIFE リライフ』でのキラキラ感はどうやって出せたと思いましたか? また、ほかに実写化において必要だと思うことはありますか?
自分にキラキラ感を見つけたことはないんですが(笑)、恥ずかしい話ですけど、こういう役だから、こうできたらいいなと思って、とにかく集中してします。ただ、そんなエネルギーの放ち方はそれぞれの現場によって違う気もしますね。実写化に必要なのは、原作に対するリスペクトじゃないでしょうか。それがあれば、素敵な作品になるとは思いますが、これはなかなか難しいことだと思います。
高杉真宙(たかすぎ・まひろ)
1996年7月4日生まれ。福岡県出身。事務所にスカウトされ、2009年に俳優デビューし、映画・ドラマ・舞台・CMなどで活躍。14年の『ぼんとリンちゃん』では「ヨコハマ映画祭」最優秀新人賞、17年の『逆光の頃』では「第9回TAMA映画賞」最優秀新進男優賞を受賞。18年1月より、ドラマ「賭ケグルイ」(MBS系)が放送開始。また、『プリンシパル~恋する私はヒロインですか?~』『世界でいちばん長い写真』『虹色デイズ』などの出演映画が公開予定。
【衣装クレジット】
ジャケット 40,000円、パンツ 21,000円/共にKONYA(XANADU TOKYO)
XANADU TOKYO
所在地 東京都渋谷区神宮前3-34-7 4F
電話番号 03-6459-2826
くれい響 (くれい ひびき)
1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。
Column
厳選「いい男」大図鑑
映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。
2017.12.08(金)
文=くれい響
撮影=橋本 篤
スタイリスト=石橋修一
ヘアメイク=堤紗也香