【WOMAN】
彼女を思ってするオナニーは
愛の発露 or イケナイこと?
出版社で編集業務に携わる傍ら、純文学小説の作家でもある六朗は、夏祭りの夜、きつねの面を着けた年若い浴衣姿の美女にときめいてしまう。思いがけない邂逅を〈きつねに化かされて……〉と自嘲しつつ、あの〈幻灯のような 一瞬の恋〉が忘れられない。
奇遇にも、六朗は彼女と、行きつけの喫茶店の前で再会。雪乃という彼女の名もあまりに運命的で、臆面もなく追いかけ回す。一方、雪乃が六朗につれなくするのには、深刻な事情がありそうで……。
男としてはまだまだ精力盛んな六朗は、彼に官能小説を書かせたがっている編集者からの差し入れ本を読めば、自慰もする。ある日も、彼女への思いが高じて、ラブレターを綴るように小説を書いてみようと思い立ったのだが、ペンを握っていない側の手は、自然に股間をにぎってしまう。
齢四十の男の、止めようのない心身の高ぶりは、雪乃への冒瀆か、一途な激情ゆえの本能か。
『官能先生』(既刊1巻) 吉田基已
六朗と雪乃は、喫茶店の客と店の新人ウェートレスとして再会。六朗にとって雪乃は20近い年齢差があるが、生まれて初めて、清らかな恋と淫らな官能を同時に感じた相手。理知的なイケメンメガネ男性の六朗は、よこしまなリビドーさえ男の健全な欲求に見える、得なキャラ。
講談社 900円
Column
男と女のマンガ道
男と女の間には、深くて暗い川のごとき断絶が横たわる。その距離を埋めるための最高のツールが、実はマンガ。話題のマンガを読んで、互いを理解しよう!
2017.10.06(金)
文=三浦天紗子