今月のテーマ「夫ウォッチ、妻ウォッチ」

【MAN】
かわいい、面白い、ときめく
でも時おり……ちょっと怖い

 マンガ家として芽が出ない己の鬱屈と嫉妬と呪詛を赤裸々に綴った「私マンガ」で注目を浴びた、福満しげゆき。その路線は引き継ぎながらも、ウォッチングする対象を自分の外側へ、配偶者へとクローズアップして描いた「妻マンガ」が、今や独自のジャンルを築きつつある。

 最新連載での「僕」は引きこもりが悪化し、コミュニケーションの相手は妻ばかり(幼い息子2人はまだまだ動物)。今も恋する気持ちで妻をウォッチし、妻の機嫌を取り、意外な行動をして妻の反応を試したりして、日常の中に現れる「面白い」=「かわいい」を拾い集めていく。

 ところが最近、妻の側に「マンガのネタにされる!」という危機感と自意識が芽生え始めている。そこでの夫婦間の駆け引きも、読みどころのひとつ。絶対にマネできない夫婦関係の中には、マネしたくなる愛情表現や「面白がり方」が詰まっていて。自分の隣にいる人も、熱烈ウォッチしたくなります。

『妻に恋する66の方法』(既刊2巻) 福満しげゆき

毎日部屋にこもって漫画を描き続ける夫にとって妻は、妻ではあるけれど恋人でもあり、親友でもある存在。いつもかわいいが、時おりちょっと怖い。2巻で描かれる妻の「大ダメージを受けたフリ」のエピソードは、心底震撼(でも、やっぱり爆笑)させられる。『イブニング』連載中。
講談社 590円

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2017.11.06(月)
文=吉田大助

CREA 2017年11月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

やっぱり行きたいね、京都。

CREA 2017年11月号

やっぱり行きたいね、京都。

定価780円

鴨川べりの散歩道、かくれ家カフェに、しみじみおいしいごはん処――。忙しい日々の中でふと戻りたくなる町、京都。混んでいると聞いて最近少し足が遠のいていた人も、町が赤や黄色に色づく季節だから、久しぶりの京都旅にでかけませんか? 紅葉の隠れ名所に、外れなしのごはんリストなど、盛りだくさんの1冊になりました。