「ハングマンGOGO」という
もう一つの伝説
さて、森山周一郎に誘われ踏み入れたハングマンの世界は、とにかくオトナであった。暗く切なく底光りする世界観。悪を倒し、誰にも知られず去っていく哀愁の背中。
どうでもいい告白だが、私は最初こそマイトに惚れていたが、早々にドラゴン(ディオン・ラム)に心変わりし、なにかの拍子に再びマイトに戻った。本当にどうでもいい話で申し訳ない。
パン、バイク、ヌンチャク、E・Tなどダサシンプル系が多い呼び名も覚えやすくて良かった。コードネームは洒落てなくていい。不器用くらいがちょうどいい。ハングマンはそう教えてくれた。
しかし、そんな愛しき彼らの活躍にも終わりは来る。
1987年放映の「ハングマンGOGO」で連ドラ枠のハングマンは歴史の幕を閉じた。
どうやらコメディ路線にGOGOし、視聴率低下してしまったのが要因のようだ。人気シリーズのドラマが時代の変化に合わせるがため、基本設定だけ据え置き、どんどんトンデモな方向にハッスルするのはよくあるパターンだ。
陽気なハングマン――。それも、いつまでも視聴者に愛されたいというけなげな心意気だったのだろう。結果的にはそのチャレンジは不発で終わってしまったが、ハイテンションで闇の仕置を請け負うという離れ業に挑んだ渡辺徹には、遅ればせながら拍手を送りたい。
2017.09.26(火)
文=田中 稲
写真=文藝春秋