煽りに煽る森山周一郎の
OPナレーションに悶える!
私のハングマン・メモリーは初期に偏っている。いわゆるダーク路線で、悪への制裁が超ハードな頃だ。ポロリどころではないセクシーシーンも多かったし、大都会のど真ん中にパンツ一丁で転がすといった恐るべき処刑法なんぞザラであった。
そんな過激なハングマン・ワールドに、当時小学生のチビッ子だった私がハマッたのはなぜか? きっかけはYOU! 森山周一郎のナレーションである!
ジリジリと腹に響く激シブな声で煽りに煽るオープニングにさらわれ、気がつきゃハングマン自体が好きになっていた。
その12年後、映画「紅の豚」のポルコ・ロッソが同じ森山ボイスと知った時は、嬉しくて嬉しくて、彼が私のために豚になってくれたと思ったくらいだ。とんだ彼女気取りである。
森山周一郎のハングマン、そして芥川隆行の「不良少女と呼ばれて」、来宮良子の「ヤヌスの鏡」という三大ナレ―ションは、今でも脳内再生が余裕で可能ッ。涙腺を刺激するパンチすら健在だ!
最近は、彼らのようなドラマの基本設定を国家機密レベルで語ってくれる大風呂敷ナレーションが減ってしまったが、近々新たなレジェンドが登場すると信じている。
2017.09.26(火)
文=田中 稲
写真=文藝春秋