篠原マジックが止まらない。いや、もう誰にも止められない。

 さあ、いよいよメインイベント。松茸のお披露目だ。

盛り付けられた漆器にまた目が留まる。古木の漆で、もう同じものは入手困難だそう。

 そして鱧。これをどうするかというと……。

心なしかドヤ顔の篠原氏。

 鱧の骨と鰹の出汁でとったスープで、鱧松しゃぶしゃぶ。まずは土鍋に北海道と岩手産の松茸をたっぷりと投入。松茸エキスがたっぷり出たところに鱧を泳がせる。

漂う香りにまたもやお腹がなる。ここまでけっこうな量をいただいてきたはずなのに。

 国産の鱧。骨切りも、実に深いぎりぎりのところまで包丁を入れる。そこで鱧料理は味が決まってしまうんだとか。

なんとほっこりする〆の料理だろう。もうここでフィニッシュでもいいと思った矢先に。

 土鍋で炊いたごはんは、上海蟹入り! なんともいい香り。この時期だからてっきり松茸ごはんと思っていた。うれしい誤算。

仲のいい中華料理のシェフから、仕入先を紹介してもらったという。

 1杯目は普通にいただく。ひと粒ひと粒に蟹味噌をまとわせた魅惑の炭水化物。いけないと思いながらも箸が止まらない。

 2杯目は、先ほどいただいた鱧松のスープを注いでお茶漬け風に。禁断の味に、ますます溺れる。

知ってはいけない味を覚えてしまった。

 甘味は、手作りの栗きんとん。最後にお抹茶がふるまわれた。

やさしい甘さ。お茶をいただいてさらにほっこりとする。

 ようやく出合えた憧れの味。

 「一切合財がオリジナル。いかに自分の感性に近づけていくかが勝負どころ」と語る篠原氏。その感性はもはや留まるところを知らない。この日も連れの何人かは早速の次の予約を入れていた。ある者は、3カ月先まで毎月入れていた。

 しかし、それは正解だったかもしれない。

 なぜなら、このレポートを書いている今、すでに来年2月までいっぱいなのだから。

銀座しのはら(ぎんざしのはら)
電話番号 03-6263-0345
所在地 東京都中央区銀座2-8-17 ハビウル銀座ⅡB1
営業時間 17:00~23:00(17:00~18:00、20:00~21:00の間に入店。貸切の場合は応相談)
定休日 日曜
予算 夜 コース23,000円
[2016年10月訪問]

Keiko Spice(けいこ すぱいす)
東京都生まれ。得意なディスティネーションはハワイと香港。普段は3日に1回のペースで焼肉を中心とした食生活。別名「肉の妖精」。

 

Column

新店来訪! 美味しい出合いに一番乗り

ニューオープン、シェフやメニューが変わった店、面白い企画を立ち上げた店……などなど、なにかと「新しい」店を一番乗りで紹介するページ。「美味しい出合い」にご注目ください!

2016.11.21(月)
文・撮影=Keiko Spice