「南部曲屋」とみちのくの温かいおもてなし

小さいけど力持ちのポニー。毎日午後3時から5時まで、駐車場から玄関まで荷物を運んでくれる。

 興奮のお祭り体験も楽しいが、温かなみちのくのおもてなしも「星野リゾート 青森屋」の持ち味だ。

 まず、送迎バスが到着した時には、大漁旗が打ち振られ、紺のもんぺを身にまとい、頭にほっかむりをしたかわいい“もんぺ娘”が歓迎してくれる。

 夏場は、青森屋の馬スタッフである“のれ”と“それ”の2頭のポニーがリヤカーをひいて荷物を運ぶ。この「ポニーポーター」は、子供たちにも人気だ。

左:堂々とした南部曲屋。
右:南部曲屋の中は、囲炉裏、広い縁側、畳の大広間と古民家そのもの。

 りんごや帆立などの名産地でもある青森は、馬産地としても名を馳せる。

 「星野リゾート 青森屋」の敷地内の公園には、十和田市から移築された南部曲屋があり、食事処として使われている。曲屋とは、人と馬が共に生活していた時代の古民家。母屋と厩(うまや)がL字型にひと続きになっていることから“曲屋”と呼ばれる。

朝食の“古民家の田舎ご膳”の品数にびっくり。陸奥湾の帆立の味噌貝焼きはじめ、塩辛と白菜漬けを炒めた“塩辛かやき”などの郷土食も。南部曲屋での朝食は1,080円足せばオプションで楽しめる。

 ここでは、旬の食材を活かして、郷土色も豊かな朝食・夕食が楽しめる。

馬車にはさわやかな風が入ってきて心地よい。

 公園の中で馬車に乗るのも楽しい。この馬車、ただ乗るだけではない。毎日、午前中に運行する馬車の中では、四季折々のおやつが楽しめてしまうのだ。

メロンは、“アムさんメロン”という青森特産メロン。香り高く、味も濃くておいしい。

 8月末までの夏シーズンは“冷(しゃ)っこい果実馬車”で、氷の上にのった新鮮な果実を味わいながら、ゆらゆら馬車に揺られて公園を散策する。この日は、とても甘くてジューシーなメロンとイチゴ。屋根付き馬車で緑を楽しみながらほのぼのした時間が過ごせる(大人1,200円、小学生1,000円、未就学児700円)。

青森を満喫した楽しい滞在の後、宿を出るバスに向かって大漁旗がうち振られ、もんぺ娘がお見送り。

 青森の祭りの華やかさ、食の豊かさ、人の温かさがひとところで味わえる「星野リゾート 青森屋」。ここからさらに「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」に足を伸ばすこともできて、みちのくを満喫する人も多いのだとか。

 自然にも触れる、まさに青森三昧の休日を過ごすことができる。

星野リゾート 青森屋
所在地 青森県三沢市字古間木山56
電話番号 0570-073-022(星野リゾート予約センター)
http://noresoreaomoriya.jp/

小野アムスデン道子 (おの アムスデン みちこ)
ロンリープラネット日本語版の立ち上げより編集に携わったことから、ローカルグルメや非日常の体験などこだわりのある旅の楽しみ方を発信するトラベル・ ジャーナリストへ。エアライン機内誌、新聞、ウェブサイトなどへの寄稿や旅番組のコメンテーター、講演などを通して、次なる旅先の提案をしている。
Twitter https://twitter.com/ono_travel

Column

日本を遊ぼう! 星野リゾートで地方の魅力再発見

日本のさまざまな地方の隠れた魅力を掘り起こし、プロデュースすることで日本の観光に一石を投じてきた星野リゾート。全国に展開されているその各施設を訪れ、その地ならではの遊び方、旅の仕方を再発見していきます。グルメ、自然、伝統工芸……、思いっきり日本を遊ぼう!

2016.08.28(日)
文=小野アムスデン道子
撮影=鈴木七絵