星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳 (前篇)

 日本の地方の魅力を掘り起こし、プロデュースすることで日本の観光に一石を投じてきた星野リゾート。その各施設を訪れ、地方らしい遊び方、旅の仕方を再発見していこうというシリーズが「日本を遊ぼう!」。今回は、野菜とワインのマリアージュという斬新なテーマのディナーを楽しめるワインリゾート「星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳」で、その野菜のおいしさの秘密を追求してきました。

全13品ものコースはデザートまですべて野菜!

野菜とワインをマリアージュさせたディナーでは、なんと30種類以上の野菜が一挙に出て来る一皿も。

 「星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳」は、家族でも何度か訪れている馴染みのリゾート。その理由は、

(1) 東京から車でも電車でも2時間ほどとアクセスがよい

(2) 緑に囲まれたモダンな宿泊施設

(3) 山梨・長野のおいしいワインが揃う

(4) 大人向け・ファミリー向けとレストランが2つ

(5) 雨が降っても全長60メートルもの屋内プールで楽しめる

 と、グルメ&ワイン、自然、子供への対応という、我が家がリゾートを選ぶ際の条件にかなっているからだ。

建築家マリオ・ベリーニのモダンなデザイン。石畳の回廊はピーマン通りといって、お店やカフェが並ぶ。

 そんな勝手知ったる「星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳」のメインダイニングが「OTTO SETTE(オットセッテ)」。ここでは、今までのワインとマリアージュしたディナーから一歩進んで、自然に恵まれた八ヶ岳という土地柄らしく、全品野菜のコースで一皿ずつワインもマリアージュさせるという斬新なディナー「Vino e Verdura(ヴィノ・エ・ヴェルドゥーラ)」を提供しているという。

13品と合わせて、11本のワインを持ってきてくれる。デザートの2品のみ甘いヴィオニエで、後はすべて1品ごとに異なるワインのペアリング。

 「OTTO SETTE」は、山梨や長野の旬の食材をふんだんに使っていて、いつもコースの品数が多いのが楽しいのだが、これはなんと13品コースかつ全部野菜。

 どんなものかと席について待っていたらまずメニューが登場。“一口のお楽しみ”、そして“恵み”という最初の2品の後は、ナス、とうもろこし、ズッキーニ、ブロッコリー、レタス、きのこ、ビーツ、じゃがいも、玉葱、ういきょう、ごぼう、と野菜の名前が並ぶ。料理に数種の野菜を混ぜて使うのではなくて、1品1野菜対応というのにまず驚く。

 13品それぞれの野菜の生かし方は、まるで手品の技のように驚きに満ちていた。すべてをここでご紹介すると種明かしになるので、その中のハイライトをピックアップしてみる。

美しく飾られた野菜。それぞれに個性があって食べるのが楽しい一品“恵み”。

 まず、一皿に30種以上の色とりどりの野菜が並ぶ“恵み”。珍しい野菜では、キオッジャ(渦巻きビーツ)、赤オクラ、ルバーブなども使われている。それにエゴマ、アマランサスなどの粒もの。それらの野菜たちを人参、小松菜、わさびとクルミで作ったソースで食べる。野菜そのものの味を噛み締めていただく。あわせるワインは、甲州ブドウのミネラルを感じる“ラ・フロレット ハナミズキ・ブラン2015”だ。

 メインに相当する“じゃがいも”、キタアカリの料理は、中にとろりとしたカルボナーラソースが入っている。ほっくりしたじゃがいもにとろりと濃厚なソース、そしてたっぷり盛られたトリュフの香りのハーモニーが絶品。“ドメーヌ ミエ・イケノ”のピノ・ノワールの凛とした味で料理が引き立つ。

じゃがいもをカットすると中からソースがとろり。
コクがあるのに後味はさっぱりする組み合わせの妙に驚くデザート。

 そして、デザートは、ういきょうとごぼうの2品。

 ういきょうは、英語でフェンネルといい、香りに特徴があるので、私のイメージはスープやシチューのスパイス。それを泡状のクリームにしてパンナコッタやミルクのジェラートと組み合わせてある。ういきょうの甘く特徴のある香りが、まったりしたパンナコッタを引き立て、さっぱりとしたジェラートが全体をまとめる感じ。“穂坂日之城 ヴィオニエ”の甘いワインとぴったり。

 シーズンでメニューが変わり、ベストな食材を使用するため、仕入れの状況によって多少の変更もある。料金は24,000円(税・サービス料込)。予約は7日前までに。

2016.10.22(土)
文=小野アムスデン道子
撮影=深野未季