■星のや京都(後篇)
日本の地方の魅力を掘り起こし、プロデュースすることで日本の観光に一石を投じてきた星野リゾート。その各施設を訪れ、地方らしい遊び方、旅の仕方を再発見していこうというシリーズが「日本を遊ぼう!」。
今回ご紹介するのは、前回に引き続き「星のや京都」。“聞香BAR”や滋味あふれるお鍋など、嵐山の冬ならではの風情を存分に楽しみます。
驚きの体験をもたらす
“聞香BAR”とは?
京都、渡月橋から小舟でたどり着く奥嵐山の旅館「星のや京都」。川を望む100年前の建物が今に生き返り、風情のある庭や作りが美しい。四季折々に表情を変える嵐山で、静かに落ちついた冬、雅な文化を楽しむプログラムが開催される。2018年1月10日(水)から2月28日(水)までの期間、「Salon & Bar 蔵」で夜に開かれる“聞香BAR”である。
和にこだわって、世界的にも評価の高いジャパニーズウイスキーと香をマリアージュするという企画だ。聞香とは香炉から立つ香りを“嗅ぐ”のではなく“聞く”という伝統の遊び。
このプログラムでは、ジャパニーズウイスキーのラインナップに、京都の老舗香木専門店「山田松香木店」がお酒の香りが引き立つように厳選した香を合わせる。
テイスティングした後に、それぞれに合った香を聞いて香りや味わいの変化を楽しもうというもの。
この日、用意されたウイスキーは、「白州18年」「山崎18年」「響17年」。いずれ劣らぬ銘酒をテイスティングした後に、それぞれに合った香を聞いて香りや味わいの変化を楽しもうというもの。
まず、いくつかの木樽の原酒をブレンドした香りがよい「白州18年」に、香木の最高峰とされる蜜のような香りを持つ「伽羅」を合わせる。木樽の爽やかな香りがさらに引き立つのが感じられる。
豊かな熟成香のブレンドウイスキー「響17年」に、「真南蛮(まなばん)」を合わせると、不思議とウイスキーの香りがさらにフルーティで落ち着いて感じる。
ドライフルーツのような香りを感じるシェリー樽を使ったシングルモルト「山崎18年」には、蜂蜜が練りこまれた練香「玄妙」と合わせることで、まろやかに深みのある香りに変化した。
人によってテイストの表現は変わるかもしれないが、この香りの変化は明らかで、ウイスキーファンはもちろん、とても楽しい体験だ。“聞香BAR”は21時から始まり、料金は1人5,000円(税・サ別/要予約)。「Salon & Bar 蔵」では、日本のウイスキーの他、ワインや季節のカクテルなども楽しめる。
右:バーとして、またプログラムの開催される場として生かされている。
2017.12.31(日)
文=小野アムスデン道子
撮影=橋本 篤