韓国映画『怪しい彼女』を日本版にリメイクした、ハートウォーミング・コメディ『あやしい彼女』で、73歳から20歳に戻ったヒロインの孫・翼役を演じる北村匠海。人気ダンスロックバンド「DISH//」のTAKUMIとしても活躍する彼が俳優業との両立について語る。

小栗旬らが演じた主人公の幼少時代を演じる

――小学3年生のときに、現在の事務所にスカウトされたそうですが、そのときの状況を教えてください。

 恵比寿の街を母親と弟と歩いていたときに、事務所の人に声をかけられたんですが、全然ピンとこなかったですね。特別、テレビが好きだったわけでもないですし、そのときはサッカーと水泳を習っていたので、将来はサッカー選手になりたいと思っていました。両親が「やってみれば」と言ってくれたことで、事務所に入ったんですが、自分の中では習い事がひとつ増えた感じでした。ダンスや演技は全然やったことがなかったのですが、レッスンを受けるうちに、徐々に楽しくなっていきました。

――08年にはNHK「みんなのうた」で放送された「リスに恋した少年」で歌手デビューするわけですが、どのような経緯で?

 オーディションです。それまでは歌うことは嫌いじゃないという程度だったんですが、これをきっかけに楽しいなと思うようになりました。この歌って、同世代のコたちはドンピシャだったようで、反響も多かったんです。同世代の俳優にはこの歌で、僕のことを知ってくださった方もいるんです。

――その映画初出演となった『DIVE!!』以来、『重力ピエロ』『TAJOMARU』『陽だまりの彼女』などで主要キャラクターの幼少期を演じましたが、印象的だった作品はありますか?

 本当にたくさんやらせていただいたんですけれど、いちばん印象深いのは小栗旬さんが演じた主人公の幼少時代を演じた『TAJOMARU』です。そのとき、完成した作品を観て、改めて“小栗さんの幼少期を演じられた”という嬉しさを感じ、それから小栗さんが自分の目標とすべき人になりました。その後、『シュアリー・サムデイ』では監督としての小栗さんとご一緒できましたし、「信長協奏曲」でも共演させていただき、なかなか先輩たちの輪に入れない僕に「こっち来いよ」と言ってくださったんです。徐々に距離が縮まっていくようで嬉しいです。

2016.03.31(木)
文=くれい響
撮影=佐藤 亘