音楽ビジネスとITに精通したプロデューサー・山口哲一。作詞アナリストとしても活躍する切れ者ソングライター・伊藤涼。ますます混迷深まるJポップの世界において、この2人の賢人が、デジタル技術と職人的な勘を組み合わせて近未来のヒット曲をずばり予見する!
さて、近々リリースされるラインナップから、彼らが太鼓判を押す楽曲は?
【次に流行る曲】
LADYBABY「アゲアゲマネー ~おちんぎん大作戦~」
驚愕の新ジャンル「カワイイデス」とは?
伊藤 今回は今まで見たことないようなアイドル? 髭のおじさんと2人のロリがビビッドにパフォーマンスするユニット。
山口 これを取り上げますか? YouTubeで話題のグループですね!
伊藤 そうですよね。絵的にやばいですからね(笑)。真ん中に鎮座する髭のおじさんは、オーストラリア出身のメタルアーティストなんですけど、インパクトが凄いです。何かのテレビ番組で見たことありますけど、この人、ヤバいと思いましたね。面白すぎるというか、変態か? 天才か? ただのオタクか?
山口 ミスiDという新しいタイプのミスコンや、服が破けて下着が見えるというコンセプトの写真集「妄撮」を仕掛けた編集者、小林司の企画ですね。狙いがはっきりしていて、インテリジェンスが高いプロジェクトだと思います。
伊藤 Jポップとデスボイスを組み合わせたニュージャンル「カワイイデス Kawaii-Death」を武器に発表した1stシングル「ニッポン饅頭」のMVは、YouTube公開後わずか4カ月間で再生数1000万回を突破しました。
山口 海外でファンを掴む戦略としては、サブカルというか広義のオタク的カルチャーと、音楽のグローバルニッチなジャンルという2つの異なった文脈の組み合わせが有効なんですよ。最近で言えば、BABYMETALは、まさにそうだし、ビジュアル系のロックバンドが海外で活動できるのも、その国だけだとメインストリームではないけれど、グローバルに存在している音楽シーンとJカルチャーの文脈を、組合せできているからなんです。
伊藤 そうですね。過去にはR&Bやロックを武器に正面から世界を目指した日本のアーティストは多いですが、誰もが撃沈されて帰ってきました。今こそJカルチャーと音楽のミクスチャーで世界を獲りにいきたいですね。さて、LADYBABYの1stシングル「ニッポン饅頭」のMVを観たときは、やられたぁ~と思いました。僕自身もプロデューサーとして、こーゆうのを世界規模でやりたいなって思っていたので。日本の文化をポップにビビッドに世界に発信出来たら面白そうだし、こんなバカげているように見えるものこそ“ニッポン”て感じ。これを下世話とかカッコ悪いと思うんじゃなく、これこそ我ら日本人じゃないとできないものと認めるところから始まるような気がするんですよね。
2015.12.28(月)
文=山口哲一、伊藤涼