【次に流行るもう一曲】
花岡なつみ「Birthdays」

レコ大や有線大賞の新人賞にまだ価値はあるか?

伊藤 2曲目は花岡なつみの「Birthdays」。彼女は第57回日本レコード大賞新人賞と第48回日本有線大賞新人賞、2015年の新人賞2冠達成ということですけど、どう見ますか?

山口 残念ながら、最近の日本のアワードで権威や影響力がある賞はなくなってしまったので、事務所がしっかり推しているのだなという以上のことは感じませんが、花岡なつみ自体は、歌唱力があって将来、有望だと思っています。

伊藤 このカップリングに収録された「ツヨイココロ」という楽曲、彼女がデビュー当初からライブでも披露していたんですけど、これが僕とCWF(コーライティングファーム/山口が塾長、伊藤が副塾長を務める「山口ゼミ」〈外部サイト〉修了生による、作曲家チーム)メンバーのコーライティング曲。予想以上に大人っぽく仕上がりましたけどどうですか? みなさんの感想をぜひ聞きたいですね。

山口 嬉しいですね。僕もこの曲は好きです。ライブでもいつも歌っていると聞いていますよ。長く歌い続けて欲しいですね。

伊藤 はい。彼女のこれからの作品にも期待したいんですよね。こういう歌手こそ、ひとつの爆発的な作品がまるっきり彼女のアーティスト性を変えて、かつ予想外のヒット曲を生む予感を感じさせます。

山口 最近、新人の女性シンガーは増えてきていますが、正統派という意味では、一歩抜きん出ていると思います。来年はブレイクが期待できますね。楽曲の良さが大事なアーティストだと思うので、CWFメンバーに頑張らせて、名曲を提供できるようにしましょう。

伊藤 久々のメジャーど真ん中で大ヒットバラード曲、ぜひ狙いたいですね!

花岡なつみ「Birthdays」
ビクターエンタテインメント 2016年1月13日発売
初回限定盤[CD+DVD]1,500円、通常盤[CD]1,000円、完全生産限定盤[CD]723円(税抜)
■1996年生まれの花岡なつみは、シンガーを目指し地元・広島の名門スクールに通い、14歳からヴォーカルレッスンを積む。2014年に出場した「全日本国民的美少女コンテスト」では音楽部門賞を受賞。翌年3月の高校卒業を機に上京し、8月に鬼束ちひろが作詞・作曲を手がけた「夏の罪」でデビューを果たす。
■「Birthdays」作詞/あおまふ 作曲・編曲/Team H∧L
■オフィシャルサイトURL http://www.jvcmusic.co.jp/-/Artist/A025151.html

【動画サイト】
「Birthdays」

URL https://www.youtube.com/watch?v=WFkOgL2K-qY

山口哲一 (やまぐち のりかず)
(株)バグ・コーポレーション代表取締役、音楽プロデューサー・コンテンツビジネスエバンジェリスト。
「デジタルコンテンツ白書」(経産省監修)編集委員。アーティストマネージメントからITビジネスに専門領域を広げ、2011年から著作活動も始める。エンタメ系スタートアップを対象としたアワード「START ME UP AWARDS」をオーガナイズ。プロ作曲家育成「山口ゼミ」や「ニューミドルマン養成講座」を主宰するなど次世代の育成にも精力的に取り組んでいる。異業種横断型のプロデューサー。著書に『10人に小さな発見を与えれば、1000万人が動き出す』(ローソンHMV)、『最先端の作曲法 コーライティングの教科書』(リットーミュージック・共著)、『とびきり愛される女性になる~恋愛ソングから学ぶ魔法のフレーズ』(ローソンHMV・共著/「ラブソングラボ」名義)、『DAWで曲を作る時にプロが実際に行っていること』(リットーミュージック)、『世界を変える80年代生まれの起業家 ~起業という選択~』(スペースシャワーブックス)、『プロ直伝!職業作曲家への道』(リットーミュージック)、『ソーシャル時代に音楽を“売る”7つの戦略~“音楽人”が切り拓く新世紀音楽ビジネス~』(リットーミュージック・共著)、『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本 』(ダイヤモンド社・共著)がある。
Twitter@yamabug https://twitter.com/yamabug
ブログ「いまだタイトル決めれず」 http://yamabug.blogspot.jp/
作曲家育成セミナー「山口ゼミ」 http://www.tcpl.jp/openschool/yamaguchi.html

伊藤涼 (いとう りょう)
音楽プロデューサー、ソングライター。「青春アミーゴ」などのミリオンセラーをプロデュース、後にフリーランスに。ソングライターとして、乃木坂46「走れ!Bicycle」、AKB48「ここにいたこと」などの作品がある。作詞アナリスト、フードミュージックプロデューサーとしても活躍。論理的で明晰な分析力に注目。著書に『作詞力 ウケル・イケテル・カシカケル』(リットーミュージック)、山口哲一との共著に『最先端の作曲法 コーライティングの教科書』(リットーミュージック)がある。
マゴノダイマデ・プロダクション http://www.mago-dai.com/
ブログ「伊藤涼の音楽」 http://ameblo.jp/magodai/
伊藤涼が主宰する作詞研究室リリック・ラボ 
http://www.mago-dai.com/?p=778

Column

来月、流行るJポップ チャート不毛時代のヒット曲羅針盤

音楽ビジネスとITに精通したプロデューサー・山口哲一。作詞アナリストとしても活躍する切れ者ソングライター・伊藤涼。ますます混迷深まるJポップの世界において、この2人の賢人が、デジタル技術と職人的な勘を組み合わせて近未来のヒット曲をずばり予見する!

2015.12.28(月)
文=山口哲一、伊藤涼