どの店より一番ハワイの思い出が詰まったレストラン

 同じく古き良きハワイのレストランといえば、ここに行きたくて、ただそれだけで“HAWAII”に旅した若き時代もあった、この店について触れなければいけません。

 有名店ですので、おそらく誰もが一度は訪れたことがあるとは思いますが、その名は僕の古い親友でもありますサム氏がオーナーシェフを務める、ケアモクに店を構える名店中の名店、ベトナム料理「マイラン(Mai Lan)」!!

ケアモクのベトナミーズ「マイラン」のオーナー・サム氏。

 「古~!! 今さらなに言ってるの?」とおっしゃる方もいると思いますが、年齢的に塩分控えめなものを好むようになり、以前よりはだいぶ足を運ぶ回数は減ったものの、やはり今でも初めての方をお連れすれば、みな驚きとともに感動の嵐の中リピーターとなってしまうから……僕にとっては、どの店より一番ハワイの思い出が詰まった場所であります。

 僕がこの店を知ったのは、もうかれこれ25年近くも前の話。もともとはJAL全盛の時代に、ハワイ便のクルー達が必ず立ち寄る美味い店と聞いて「ココに行けば綺麗なスチュワーデス(現CA)さんと出会える!」といった愚かな発想から通い始めたのがきっかけだった気がしますが、同時にテレビ関係やファッション雑誌を含めた、ありとあらゆる日本のロケ隊チームの打ち上げレストランのメッカとしても有名だったもので、その後も撮影隊の一員としてハワイに来る度に何十回と来店し「ジョウダンジャナイヨ~」が口癖のサムとも常に顔を合わせている間に、いつしか大の仲良しになっていました。

 今は亡き高倉健さんが、7日間のロケで6日間ここでディナーをとり、残りの1日は撮影現場にランチを頼んだというエピソードはあまりに有名ですが、それほどココの独創的な料理は当時から衝撃的でありまして、いまだに決して他では味わうことはできないでしょう。

 それはきっと、サムがベトナム人でありながら長年チャイニーズのシェフをやっていた経験があり、いわゆるヘルシー&さっぱりの本来のベトナミーズではなく、しっかりした濃口でパンチのある、彼独特のオリジナル料理を提供しているからに違いありません。

 唯一気をつけてもらいたいのは、「裏メニュー、裏メニュー~」と必ずサムは言ってきますが、これも「ジョウダンジャナイヨ~」に次ぐ単なる彼の口癖でありまして、まったく裏メニューではないので(笑)。まぁ本当の裏メニューも確かに存在することはするのでありますが、またそれは後ほど……。

2015.11.27(金)
文・撮影=小川カズ