食いしん坊ツアーはアフターケアも素晴らしい!
日が落ちて、町にはますます人が増えてきた。5軒目のバルに行く途中、バルとは少し様子が違う入り口があった。アランチャによると、そこは「美食倶楽部」なのだという。
男性が、仲間同士で集まって料理をつくって楽しむ場だそうで、サン・セバスチャンにはそのような場所が100箇所以上ある。会員制な上、入会資格も厳しく、会員の男性と一緒なら女性も中に入れることがあるのだそうだ。外からチラリとのぞき見た限りではよくわからないけれど、このような場所がサン・セバスチャンの美食の礎のひとつになっているという。
そして、サンタ・マリア教会の前にある「アタリ」に着いた。アランチャが「じゃあ皆さん、私が料理を持ってくるまで、ここの階段に座って待っててね。チョイスは4種類、山羊のほほ肉のステーキ、フォアグラのホワイトチョコレート味、塩タラのスクランブルエッグ、温泉卵とマッシュルーム!」。それぞれの希望を聞いてから、アランチャは店の中へ消えていった。
待つこと5分ほど。アランチャが料理を持って戻って来た。参加者同士で味見し合ったりして、いろいろ楽しんだ。私が選んだ温泉卵は、とろりとした卵がマッシュルームに絡んで絶品だった。
Atari(アタリ)
所在地 Calle Mayor 18, 20003 Donostia, Gipuzkoa
電話番号 +34-943-440-792
市場の近くに戻って来たとき、アランチャが言った。「皆さん、デザート食べたい?」と。「イエース!」全員が答えた。ここまででかなりお腹がいっぱいになったものの、やっぱりデザートは別腹だ。
右:ふんわり濃厚な「ラ・ヴィーニャ」のチーズクリームケーキ。
「ラ・ヴィーニャ」の名物はチーズクリームケーキ。ふんわり濃厚なベイクドタイプのチーズケーキだ。さっきまであんなにお腹いっぱいだったのに、おいしくて全員がペロリと完食!
すると、アランチャが携帯を出して、バルに居合わせた人に写真を頼んだ。「みなさん、もう家族のような感じね(笑)」と。「メールアドレスを教えてね。お店の名前と今日食べたお料理をメールするのでお楽しみに。チーズケーキのレシピがほしい人はいる? 家に帰って作ったら、写真を送ることが条件よ(笑)」と。そして、他の参加者のみなさんとメールアドレスを交換して解散。
帰り道、フルーツショップが開いていたので、その場で搾るオレンジジュース(これ、驚くほど美味しい)を買ってホテルに帰ったのだった。
3日ほどして、長文のメールが届いた。予告通りのリスト、レシピのほかに、その他のお勧めのバルとレストラン、それぞれのお勧めメニューのリストがズラリ。そして、みんなで撮った集合写真も。このリストがあったらあと3日いても足りないくらい。最後には、質問があったらいつでもメールしてほしいと書き足してあった。
また来ることがあったら、やっぱりこのツアーに参加したいと思った夜だった。ちなみに、10人以上のグループなら、割増料金がかかるけれど、日本語ガイドを付けてくれるそうなので、事前に問い合わせるべし。
La Viña(ラ・ヴィーニャ)
所在地 31 de Agosto Kalea, Parte Vieja, 20003 Donostia, Gipuzkoa
電話番語 +34-943-427-495
URL http://lavinarestaurante.com/en/
Column
トラベルライターの旅のデジカメ虫干しノート
大都会から秘境まで、世界中を旅してきた女性トラベルライターたちが、デジカメのメモリーの奥に眠らせたまま未公開だった小ネタをお蔵出し。地球は驚きと笑いに満ちている!
2015.09.22(火)
文・撮影=たかせ藍沙