いろんなものが見えたライダーとしての1年

――ということは、転機になった作品はやはり「ウィザード」ということですか?

 知名度とは関係なく、長い期間、作品と関わることによって、自分のやり方を見つけ出すことができた作品。そして、スタッフさんと関わることによって、みなさんの大変さを分かることができた作品だったと思います。また、自分は周りから、いろいろムリなことを言われることは苦手だし、自分から発信したものを受け入れられたら達成感はあるし、自分は何が好きで何が嫌いか、ということがハッキリ分かった。そんな1年だったと思います。

――そして、今年公開された『ズタボロ』では映画初主演を務めましたよね。

 正直うれしかったです。コーイチという役は、実際の状況とは似ていませんが、セリフの感覚的なものが、どこか僕と似ていたんです。だから、それを作品でやることができるということは、自分のことも知ってもらえるきっかけになると思いました。「ライダー」とは違う喧嘩アクションも楽しかったですし。あと、自分が主演というプレッシャーはなかったのですが、コーイチではなく、永瀬匡として舞台挨拶に立つことに緊張しました。今の自分の知名度はまだまだだけど、多くの人に見てもらいたい。そんななかで、どんなことを話したらいいのかということを悩みましたから。

――主演作を経験したことで、自身の中で変化はありましたか?

 とても有難い経験をさせていただきましたが、僕自身は何も変わっていません。ただ、主演だろうが、端役だろうが、作品作りにおいては、特に関係ないことは『ズタボロ』で主演させてもらったことで、よく分かりました。

2015.09.04(金)
文=くれい響
撮影=山元茂樹