誰もが想像しなかったイメージで演じる「小林一茶」
――これまでの経験を経て俳優としての心境の変化のようなものはありますか。
俳優というお仕事は、とにかく経験値がモノをいう職業だと思うようになりました。日々の生活の、流れていってしまうことでも経験になる。現場でも、プロフェッショナルな方々と関わらせていただいているなかで、自分自身が貪欲に勉強し、磨かれなきゃいけないと思うんです。仕事を頑張って、今後もさまざまな仕事、現場、人との出会いを大切に、取り組んでいきたいと思っています。
――4月に上演される井上ひさし作の舞台「小林一茶」では、こまつ座の座長を務めるわけですが、現在の心境はいかがでしょうか。
初めてチャレンジさせていただくことづくしなので、今からプレッシャーもとても感じていますが、それよりも喜びの方が大きいです。全力でぶつかろうと思っていますし、これを経験して乗り越えた先に自分がどうなっているか考えるとワクワクしますね。
――ちなみに、この舞台で、どんな新しい和田正人が見られるのでしょうか。
「小林一茶」と聞いて、持つイメージって、人それぞれだと思いますが、「有名な俳人」という印象の方が大半だと思うんです。でも、今回演じさせていただくうえで、実際に歴史を紐解いていくと、ひとつの信念に沿ってのものではありますが、小林一茶という人間は決して“いい人”ではなかったような印象を持ったんです。この作品はキャッチコピーに「容疑者」という言葉が入っているように、誰もが想像しなかったイメージで彼を描いています。僕自身、これまでドラマなどで犯人や悪人を演じたことはあっても、舞台上で演じるのは初めてで、そういう意味でも新しい試みになると思いますし、お客さまには僕と一茶の新しい一面を見てもらえると思います。
2015.04.03(金)
文=くれい響
撮影=中井菜央