ふわりと浮かんで空へ。曇っていても絶景!
空が少し明るくなってきた。急いで迎えに来ていたワゴン車に乗り込んだ。今日は気球に乗るのだ。天候によっては中止になると聞いていたものの、催行が決まったのだ。空には厚い雲がかかっていたけれど、風が穏やかなので問題がないのだという。まずは、気球ではなくバルーン会社の建物へ。気球ツアーの費用を支払ってから、グループごとに呼ばれるのを待つ。コーヒーやパンなどの簡単な朝食も用意されている。15分ほどで呼ばれた。
車に乗り込み、走ること5分ほど。途中、巨大なバルーンに空気を入れている気球をいくつも見かけた。そして到着。私たちのバルーンは、いつ浮いてもおかしくないほど膨らんでいた。この道30年というキャプテンのデビッドさんの指示に従って、10人ほどの乗客が乗り込んだ。
全員が乗り込んだことを見届けて、デビッドキャプテンがガスバーナーに火をつけた。ゴーッと凄い音がして温められた空気がバルーンに注がれる。そして、地上に縛り付けてあったロープが解かれ、気球はふわりと浮かんだ。「わーっ!」と歓声があがった。
空は相変わらず曇っていたけれど、もう、そんなことは関係ない! 全員が興奮していた。
他の気球たちも次々と空に向かって浮かんでいく。ここでは、数百基もの気球が毎日空に舞う。世界各地で気球の大会などはあるものの、毎日これだけ飛んでいるのはカッパドキアだけなのだとか。
デビッドキャプテンは、ガスバーナーの火だけで巧みに高度を調整している。気球同士が近づくとお互い写真を撮りまくる(笑)。ふわふわと風に乗って同じ方向に向かって流れていく気球たち。奇岩群に大接近したり、町の上を通ったり、そして、雲の切れ間から光の筋が顔をだしたりと、わくわくする絶景が次々と現れるのだ。
気球ツアーは1時間と1時間30分があって迷わず後者にしたのに、時間が経つのが何と早いこと! やがてキャプテンが無線で地上と連絡を取り始めた。どうやら着地点を相談しているようだ。
気がつくと、地上には私たちの気球を猛スピードで追いかけている車が! トルコ語は分からないけれど、「あっちだ! 早くしろー!」「まってくれー!」「もう着いちゃうぞー!」などとやりとりしている感じ(笑)。
すると、菜の花のような黄色い花が咲く花畑が見えてきた。「えっ? 花の上に着地しちゃうの!?」と心配していると、気球から下ろしたロープを地上でナイスキャッチ! 花を傷つけないような場所に誘導してくれた。乗客からは拍手が湧いた。
右:4人がかりで、まるで綱引きのようにロープを引っ張って、気球を誘導してくれた。
地上に下りると、記念メダルと、ジュースやワインが用意されていた。興奮醒めやらぬ私たちは、花畑の前で笑顔で乾杯したのだった。デビッドキャプテン、素晴らしい体験をありがとう!
2015.02.10(火)
文・撮影=たかせ藍沙