空中の次は地下空間で非日常の世界を満喫!

デリンクユの地下都市の入口。この地面の下に、アリの巣のように巡らされた巨大地下都市がある。

 なかなか青空がでてこない。ならば、いっそのこと空がない世界へ! というわけではないけれど(笑)、空を飛んだ後は地下都市に行くことにした。地下7階まであるという、カッパドキア最大のデリンクユの地下都市だ。「デリンクユ」とは、トルコ語で「深い井戸」という意味。最大深度は85メートルにも達する。そこには、地上にあるチケット売り場からは想像がつかない地下空間が連なっていた。

敵が攻めて来たら、この石を動かして通路をふさぐという。ガイドのアリさんが石の動かし方を説明してくれた。このようなカラクリや罠があちらこちらに仕掛けてある。

 地下都市の起源は紀元前400年頃に遡り、アラブ人の迫害から逃れるためにキリスト教徒が造ったとされている。カッパドキアには、その悲しい歴史ゆえに掘り進められた地下都市が300以上あり、デリンクユの地下都市には5000人が暮らしていたといわれている。中央を直径1メートルほどの縦穴が貫き、空気を送り、水を汲み上げる重要な役割を果たしていた。

1時間かけて観光しても全体の10%くらいしか巡ることができないほどの広さ。
通路は人ひとり通るのがやっとという細さ。閉所恐怖症の人はいなかったのだろうかと心配してしまった。

 敵から身を守るため、通路は人がひとりやっと通れる程度。ところどころに秘密の扉があったり、敵を奇襲できるようになっていたりする。太陽の光も届かない地下で数千人の人々が暮らしていたなんて、にわかには想像しがたい。とはいえ、子供の頃に地下に住んでいたというガイドのアリさんが階段を行き来する軽やかさを見ていると、小さな子供たちが走り回る姿が思い浮かんだ。

 今日はふたつの非日常を体験できた、エキサイティングな一日だった。

地下都市では、さまざまな国の観光客の皆さんとすれ違う。

2015.02.10(火)
文・撮影=たかせ藍沙