「あのお茶が転がっていた部屋の中にいたんだろうな」
「そこからは話してくれた内容と同じなんだけど、『人が来ているじゃないのぉ』って、あの女が言った箇所あるだろ? あれ、実際には『しょうちゃん来ているじゃないのぉ』って言っていたらしいんだよな」
「……しょうちゃんって」
「Sのことだよ。親戚はそう呼ぶんだってさ。それに、玄関からなくなっていたのもBじゃなくて、彼のスニーカーだって俺は聞いたんだよなぁ」
その後のBさんのアパートでの体験談も、様子がおかしくなったSさんを心配したOさんが訪ねた際の体験談で、そもそもBさんなどという人はSさんの仲間には居なかったそうです。
「だからあのときSは、あのお茶が転がっていた部屋の中にいたんだろうな、って」
「結局、あの日以来Sさんには会えず、行方もわかってないです。……こんな嘘つかれちゃったら怖いじゃないですか。だから、かぁなっきさん。僕、このお話を最後に怪談集めるのをやめたんですよ」
Fさんはそう話を締めくくったそうです。
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Column
禍話
2016年からライブ配信サービス「TwitCasting」で放送されている怪談チャンネル「禍話(まがばなし)」。北九州で書店員をしている語り手のかぁなっきさんと、その後輩であり映画ライターとして活躍中の加藤よしきさんの織りなす珠玉の怪談たちは、一度聞いたら記憶に焼き付いてしまう不気味なものばかりです。









