心が豊かになれる滞在を

 竹で手作りされた20棟のヴィラは、地元の部族の竹の家にインスパイアされたデザイン。すべてプライベートプール付きです。三日月形をしたアランアランの葉で葺いた屋根は、周囲に溶け込むと同時に雨風から建物全体を保護する役割があるそう。

 ヴィラは、波打ち際まで数メートルのビーチヴィラと、高台に立つシービューヴィラの2タイプに分かれます。

 1階にラウンジエリアやバー、プールを置く広いデッキなど。2階にマスターベッドルームとバスルーム。フロアをつなぐ竹製の階段は、緩やかにカーブし、ゆとりある間取りです。

 ヴィラ内では携帯電話はつながるし、バトラーを呼ぶためのiPadも用意されています。一方、テレビやエアコン、固定電話はありません。雑音がない分、自然をすぐそばに感じる気がします。

 夜、オーガニックコットンのモスキートネットに守られて、ベッドに横たわっていると、周囲からホホウ、ホホウ、キキーッと、映画のようなジャングルの音が迫ってきます。野生の音の只中にいながらも、安心して眠れる。贅沢な冒険です。

 多くのゲストが選ぶ料金プランは、ほとんどのアクティビティや三度の食事が含まれたオールインクルーシブ制。メニューはインドネシア料理や地元の郷土料理と、各国料理を融合させたものです。仕入れ具合によって日替わりでメニューは変わり、ランチの時にディナーの献立を伝えに来てくれます。

 リゾートのスタッフが畑で育てた野菜や飼育している鶏の卵だと思うと、ありがたさも倍増。でも、もし残してしまったら……。その時は虫を活用した天然のコンポストで、分解します。時間をかけて肥料にし、土に還すことで自然の循環を守っているのです。

 あるがままの自然の中での、ちょっと不自由だけど、豊かな滞在。これぞ、リゾート上級者におすすめしたい、“クルーソー・リュクス”! ちなみに、滞在が許されるのは15歳以上の大人のみです。

チェンペダック島

●アクセス シンガポールからフェリーでビンタン島へ約1時間。ビンタン島を縦断すること約1時間、東海岸から船で約30分。
●おすすめステイ先 チェンペダック・プライベート・アイランド
https://cempedak.com/ja/

古関千恵子(こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること30年あまり。
●Instagram @chieko_koseki

Column

古関千恵子の世界極楽ビーチ百景

一口でビーチと言っても、タイプはさまざま。この広い世界に同じ風景は一つとして存在しないし、何と言っても地球の7割は海。つまり、その数は無尽蔵ってこと? 今まで津々浦々の海岸を訪れてきたビーチライター・古関千恵子さんが、至福のビーチを厳選してご紹介します!

2025.10.04(土)
文・撮影=古関千恵子